■「ACP」をどのように実践?現場はいま

 札幌市の「手稲家庭医療クリニック」では、ACPを知ってもらおうと、スタッフや患者などを対象に、これまでに10回以上のイベントを開いてきました。

この日は、外来の患者20人ほどが参加し、もしもの時に備えて、自分の最期について考えていました。

「もしばなゲーム」と呼ばれるカードゲームを使って、「余命半年。あなたはどう過ごしたい?」という状況をみんなで一緒に考えていきます。

カードの中には

・家族と一緒に過ごす
・痛みがない
・呼吸が苦しくない
・家族の負担にならない
・機械につながれていない

など、さまざまな言葉が書かれています。

参加者たちは、カードに書かれた言葉を見ながら、自分の「最期」に大切だと思うカードを取捨選択し、最終的に3枚のカードを手元に残しました。

参加した男性(83)
「今回初めて参加させてもらって、自分の気持ちが明確になって整理できた。カードは『信頼する主治医がいる』とか『自分の思うようにいきたい』というカードを選びました」

「ACP」を初めて行った男性(83)

参加者の中には、4か月前に前立腺がんが見つかり、医師から余命2年ほどと宣告された男性が妻と一緒に参加していました。

がんを宣告された男性(81)
「人生の流れの中で、この時期に差し掛かったんだなと。周りが一番受け入れやすい方法で最期を迎えられればいいかな。妻が困らないようにできればそれでいい。満足のいく人生だったので、これ以上は望みません」

がんを宣告された男性(81)

「医師からは治療方法が選択できると言われたが、自分で選択する難しさがある。もう一度頭の中を整理するのに役にたった」

「医療従事者の方々が日々忙しい中で、ここまで年寄りのことを考えてくれてありがたい。本来は自分で考えなければならないことを、医療従事者がリードしてくれるのは大変ありがたい」