“元祖サッカーのまち”のクラブがついに、清水、磐田に肩を並べました。明治安田生命J3リーグの藤枝MYFCが11月20日、J2昇格を果たしました。クラブ創立14年目での悲願達成にサポーターも、市民も喜びを爆発させました。
11月20日に行われた明治安田生命J3リーグ最終戦、AC長野パルセイロ戦で勝ち点1を積み上げ、2位でJ2昇格を果たした藤枝MYFCは一夜明けた21日、監督や選手らが地元藤枝市役所を訪れ、喜びを報告しました。
殊勲の藤枝イレブンを興奮気味に迎えた藤枝市の北村正平市長は「感動を持ってJ2昇格を迎えています。J2の土俵で活躍するわけですけど、全力で藤枝市としても、周辺市町と一緒に応援をしていきたい」とたたえました。
最終戦の舞台は、静岡県藤枝市から北へ約200キロのアウェー長野Uスタジアム。歓喜の瞬間を見届けようと熱心なサポーターが現地に集結しました。
<長野にやってきた藤枝サポーター>
「J2に昇格してください」
一方、藤枝市内でも。
<和田啓記者>
「藤枝市のパブリックビューイング会場です。藤枝MYFCのJ2昇格の瞬間を見届けようと、雨の中多くのサポーターが駆けつけています」
<地元で見守るちびっこサポーター>
「J2にMYFCが行くので、喜びを分かち合うために来た。がんばれ!MYFC!」
3位鹿児島ユナイテッド、4位松本山雅との勝ち点差は3。AC長野パルセイロとのゲーム、引き分け以上で自力でのJ2昇格が決まる運命の一戦です。
リーグ2位、58得点の攻撃力を誇る白のユニフォームの藤枝MYFC。この試合も前半から思い切ったシュートで相手ゴールに迫ります。
40分には、相手のミドルシュートが藤枝ゴールを襲いますが、守護神・内山圭が好セーブ。得点を許しません。
0対0で迎えた後半。藤枝が攻撃のギアを上げます。16分には静岡市出身のMF杉田真彦主将が、34分には、MF水野泰輔のパスに抜け出したFW岩渕良太が長野ゴールに迫りますが、得点ならず。それでも決定機を何度も作ります。
就任2年目の須藤大輔監督のもと、“超攻撃的サッカー”で快進撃を続けてきた今シ―ズン。引き分けても昇格できる一戦で、最後まで自分たちのスタイルを貫き通しました。
歓喜の瞬間まで、残りわずか…長野のスタジアムで、そして、地元藤枝でサポーターが最後まで選手の背中を後押しします。
<実況>
「試合終了の長い笛。この瞬間、藤枝、クラブ史上初のJ2昇格を決めました」
アウェーゴール裏に詰めかけた藤色のサポーターから歓喜の雄たけびが次々と聞こえました。
「うれしい」
「J2でも攻撃的サッカーで勝つところを見せて欲しい」
「J2やったぞ」
「やりました」
「J2昇格おめでとうございます」
中には、涙にくれる女性サポーターの姿も。
「選手たちの頑張りを毎回ホームに行って観てたので…幸せです」
試合後、杉田主将は「勝ちで終わりたかったが、最後の最後まで超攻撃的で藤枝らしいサッカーを貫き通せたのはよかった。藤枝というチームでJ2昇格が現実のものとなったので感極まってしまった」と目を潤ませ、藤枝市出身のDF鈴木翔太選手は「J2でも攻撃的サッカーで勝ち続けて、新しい風を吹かせたい」を力を込めました。
須藤大輔監督は、試合後の会見で開口一番、「もしかしたら、藤枝サポーターはこれまで清水と磐田の陰に隠れて、冷や飯を食っていたかもしれません。ですが、今は同じカテゴリーで真剣勝負ができる」とJ2昇格を勝ち取ったことの意義を強調。「藤枝の誇り、プライドをもってそういう相手に自分たちのサッカーをして勝ち切れるように、オフ期間にチームを育て上げたい」と早くも視線は来シーズンを見つめていました。
杉田真彦主将は試合後、サポーターに向かい、「J2昇格決めました!」と絶叫。「J2に行っても変わらぬ熱い声援をよろしくお願いします!」と頭を下げまました。静岡サッカー界に新たな歴史を刻んだ藤枝MYFC。J2の舞台でも超攻撃的サッカーで旋風を巻き起こします。
J2昇格を決めた藤枝MYFCの「MYFC」は「私のフットボールクラブ」という意味。2009年のクラブ設立時、ネットでオーナーを募ったことが由来です。
ホームタウンは、元祖サッカーのまち藤枝市をはじめ、志太榛原地区4市2町です。
静岡県リーグからスタートしたMYFC、創世期には、ともに清水エスパルスで活躍した元日本代表の斉藤俊秀さんや市川大祐さんもプレーしています。
東海リーグ、JFL(日本フットボールリーグ)を経て、2014年にJ3入りを果たしましたが、そこから苦節9シーズン、ついに自分たちの手でJ2の扉をこじ開けました。
静岡県勢のクラブがJ2に昇格するのは史上初めて。2023シーズンは清水エスパルス、ジュビロ磐田、そして、藤枝MYFCの3つのクラブがJ2でしのぎを削ることになります。
7部相当の県リーグからJ2まで一歩一歩上ってきた藤枝MYFC。“元祖サッカーのまち”の誇りを胸にJ2の舞台に立ちます。














