日本のコメは「ある」という前提でこれまで政策が行われていましたが、政府は「足りていない」と認め「増産」する方針を発表しました。コメを増やすうえで一番の課題は、農家の不安をどう解消するかです。これからコメは増産できるのか、そして、私たちの生活はどのように変わるのか…。流通経済研究所・折笠俊輔主席研究員への取材を含めてまとめました。

政府が一転、やっぱりコメ足りていなかった!

 政府が説明するコメが足りない理由の一つ目は、「需要量の見誤り」。背景として以下が挙げられます。

 ■小麦価格が高騰…比較して値ごろ感のあるコメの需要につながった
 ■インバウンドの需要を考慮せず
 ■家庭の需要が増えた…去年、南海トラフ地震臨時情報が発表されたことによる買いだめ、ふるさと納税の返礼品でコメを求める人が増加

 二つ目は「供給量の見誤り」。暑さでコメの白濁・割れが発生することにより、精米したときの“売れるコメ”の割合(歩留まり率)が低下しているということです。

 農水省調べのグラフを見ると、需要が平均して毎年10万tずつ減少していくという見通しでしたが、実際にはこの2年間は需要実績が下がらなかったため、コメが足りなくなったということです。