政府はきょう、「南海トラフ地震臨時情報」が発表された際の新たな対応ガイドラインを発表しました。「イベントなどは、できるかぎり継続することが望ましい」とするなど、安全と社会活動の両立を目指す指針を示しました。

上村アナウンサー(去年8月放送)
「巨大地震注意の南海トラフ地震臨時情報を発表しました」

去年8月、突如発表された「南海トラフ地震臨時情報」。

和歌山県白浜町の海岸では、夏休みで多くの海水浴客でにぎわうはずが、海水浴場は閉鎖。人気がなくなりました。さらに花火大会は中止や延期が相次ぎ、鉄道でも在来線が運休するなど、広い範囲で影響がでました。

こうした混乱を受けて、内閣府は防災対応のガイドラインの改訂を進めてきましたが、きょう、新たなガイドラインを発表しました。

臨時情報が発表された際の海水浴場や花火大会などの運営については…

「状況に応じて適切な防災対応を実施したうえで、できる限り事業を継続することが望ましい」

内閣府は安全と社会活動の両立を目指す方針を示し、臨時情報が発表された後でも、イベントなどは通常通り行うことが望ましいとしました。

去年、海水浴場の閉鎖を決めた和歌山県の白浜町では…

和歌山・白浜町 大江康弘 町長
「国は無責任なんですよ、おかしいですよ。例えば、津波が来たときに助けられるかと、自分に問うたときに助けられないですよね。来ていただいた人をいかに安全に帰すかが、町の一番のおもてなしだと」

新たな方針に難色を示し、今後も去年と同じ状況になれば、海水浴場を閉鎖するとしました。

さらに去年、花火大会の開催を延期した静岡県の焼津海上花火大会の運営担当者は…

焼津市観光協会 見原照久 事務局長
「いざというときにお客様の命を守れるかどうか、ガイドラインに具体的に踏み込んでもらって、作ってもらえたらありがたい」

また、新たなガイドラインでは、鉄道会社の対応について、巨大地震注意の場合、原則運行規制はせず、平常通りとすることなどが示されました。

JR西日本は去年、「特急くろしお」の和歌山県の沿岸を走る区間を運休にするなどの対応をとりましたが、ガイドラインの改訂を受け、対応を改めて検討するとしています。

新たに示された方針に対し、各事業者からみられた「戸惑い」。

内閣府は…

「個別の状況を判断したうえで、鉄道の運行を規制したり、イベントの開催を取りやめたりすることを止めるものではない」

あくまで、各事業者の個別の判断にゆだねるとしたうえで、「臨時情報は不確実性の高い情報。大きな方針として、社会活動・経済活動を継続するということを示したもの」と説明しています。

政府が目指す安全と社会活動の両立は達成できるのでしょうか。