化学機械メーカー「大川原化工機」のえん罪事件をめぐり、警視庁は「公安部の幹部による捜査指揮が機能しなかった」とする検証結果を発表したうえで、迫田裕治警視総監が謝罪会見を行いました。
迫田裕治 警視総監
「警視庁といたしましては、今回の検証で明らかになりましたように、当時、公安部において組織的な捜査指揮がなされなかったことで、捜査の基本を欠き、その結果、控訴審判決において、違法であるとされた捜査を行ったことを真摯に反省しております。亡くなられた会社の顧問の方、およびそのご遺族の方々には、心から哀悼の意を表しますと共に、本件捜査によって多大なご心労、ご負担をおかけしたことについて深くお詫びを申し上げます」
迫田裕治警視総監は、午前10時半ごろから始まった会見の冒頭で、大川原化工機のえん罪事件の公安部の捜査についてこのように述べ、遺族に対し謝罪しました。
「大川原化工機」事件をめぐっては、大川原正明社長ら3人が、軍事転用できる噴霧乾燥機を中国などに不正輸出したとして逮捕・起訴されましたが、初公判の直前に起訴が取り消されました。
無実が明らかとなった大川原社長らは東京都と国に賠償を求める訴えを起こし、東京高裁は今年5月、警視庁公安部と東京地検の捜査の違法性を認め、あわせておよそ1億6600万円の賠償を命じる判決を言い渡し、これが確定していました。
また、当時、大川原社長とともに逮捕・起訴され、長期間勾留された顧問の相嶋静夫さん(当時72)が2021年、胃がんが原因で亡くなっています。
警視庁は判決の確定を受け、副総監をトップとする検証チームを立ち上げ、当時の幹部や捜査員に聞き取り調査を行ってきました。
きょう(7日)公表された検証結果で、警視庁は、捜査当時に指揮を執るべき公安部幹部が聞き取りに対し、「報告が上がらず現場に任せて追認していた」「報告を受けた記憶もないし、指示をした記憶もない」などと話していたことなども発表。
検証チームによりますと、「現場の動きに組織がブレーキをかけられなかった、軌道修正をはかれなかった」と反省点を述べたうえで、「捜査方針に合わない消極的な証拠の検討や共有がなされず、公安部の幹部による捜査指揮が機能しなかった」などと総括しています。
検証結果を踏まえ、警視庁はきょう、退職者を含む当時の幹部らを処分や処分相当とする内容についても公表することにしています。
また、捜査部門に導入される新たな再発防止策も発表されました。
公安部には、捜査を監督する「公安捜査監督指導室」を新設するほか、重大事件では公安部長が捜査会議を主催するとしています。
警視庁によりますと、警視総監が謝罪会見を行うのは、2007年に国分寺市で立川警察署の署員が拳銃で女性を殺害した事件以来で、記録が残る限り3件目と極めて異例なことです。
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