激戦区に出店 意外な効果

街にはラーメン店以外にも▼「古書店街」神保町 ▼「電気街」秋葉原 ▼「スポーツ店街」御茶ノ水といった“激戦区”と呼ばれる場所があります。
文芸評論家 三宅香帆さん:
私はよく神保町に“古本巡り”をしに行くのですが、1店舗だけ行くというのではなく、様々な古本屋さんに行くことができるので、購入欲が上がりますね。1冊買ったら次のお店に行ってまた買おうと思ってしまいます。
高柳光希キャスター:
スポーツ用品や古本屋は様々なお店に行こうという気持ちになりますが、ラーメン店だと1杯食べたらお腹がいっぱいになるので次のお店に行こうという気持ちにはならないような気がします。
出水キャスター:
ただ、激戦区に行くと「あそこに行けば何とかなる」と思うことはありませんか?
実はこのような思いから激戦区には『人が集まる』という分析もあり、その結果、小滝橋通りにラーメン店が集まるのではないかということなんです。
井上貴博キャスター:
私は小滝橋通りで深夜まで営業しているラーメン店に行くのですが、値段の安い「松太郎」にも行ってみたくなりますね。
出水キャスター:
目的のラーメン店が混んでいたとき、別のラーメン店に行こうかなという人も多いと思います。またラーメン好きな方は暖簾を見ますので、違う街でそのお店を見かけたときに入ってみようかなということもありますよね。
このように激戦区に出店することで“お店を知ってもらう”きっかけにもなるようです。

また、精神科医の田中伸一郎医師によりますと「前後の文脈から様々な推察をして対象となる物の価値を決める“コンテクスト効果(文脈効果)”」という心理的な作用があるといいます。
例えば古書店街に新しい本が置いてあっても「さぞかし貴重な本に違いない」、ラーメン店も「激戦区にある店だから、こだわりがあるに違いない」と感じるそうです。
文芸評論家 三宅香帆さん:
確かに同じ本であっても、いわゆる街の古本チェーン店よりも神保町に置かれている方が格好良く見えてしまいます。
ラーメンも「こだわりの一杯」を食べたい場合は、こだわりのあるエリアに行って食べたいですよね。
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<プロフィール>
三宅香帆さん
文芸評論家 31歳
著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」で「新書大賞2025」受賞