■「ロシア軍の質は一般に言われているほどひどくない」

ヘルソン市の奪還で、ウクライナの攻勢が伝えられる中、現地の状況を1カ月間にわたり調査をしている人物がいる。イギリス王立防衛安全保障研究所=RUSIの研究員レイノルズ氏。彼はロシアの侵攻以来、2か月ごとに被害地を長期にわたり検証、ロシアの攻撃力などを分析している。RUSIはレイノルズ氏の調査をもとに、11月7日、ウクライナへの防空支援を強化しないと、今後、ウクライナ軍の勝利の可能性が低くなるという趣旨の報告書を出した。

英国王立防衛安全保障研究所 レイノルズ研究員
「現時点でウクライナは戦場では優勢ですが、今後もウクライナが生き残り、優勢を保つために何を必要としているのか、国際社会は楽観視すべきではありません

レイノルズ氏は現地調査する中で、メディアなどでは伝えられていないロシアの防衛力の強さに気づいたという。

英国王立防衛安全保障研究所 レイノルズ研究員
「ロシア軍は占拠した地域で防衛体制を広く強化し素早く塹壕を掘っています。さらに航空システムと通信用のケーブルを敷いています。汚れて散らかったロシアの占拠地の写真が多く出回っていますが、ロシア軍は選挙地域で塹壕を掘り、防衛体制を整えているという事実を覆い隠すべきではありません。ロシア軍の質は高くありませんが、一般に言われているほどひどくはないのです

そして今後、最もウクライナが注意すべきなのはロシアの空軍力だという。

英国王立防衛安全保障研究所 レイノルズ研究員
「ロシア陸軍は著しい損失を受けましたが、空軍にはまだ多くの能力が残っています。ロシア空軍はかなり有能です。ウクライナが今保有している装備では領空を守るのは技術的に不可能です。」

レイノルズ氏の今後のウクライナの戦況の見立ては一貫して楽観的なものではなかった。その理由はいま西側諸国がウクライナに送っている兵器は、自分たちが渡せるもの、渡したいもので、ウクライナに必要なものという観点が少ないからだという。

英国王立防衛安全保障研究所 レイノルズ研究員
「国際社会は、ウクライナ軍には地対空ミサイルの弾薬など軍事補給面で危機的な脆弱性があることを認識しなければなりません。ロシアが防空ネットワークを撃ち破ることができれば、にわかにウクライナはシリアで行われたような爆撃のリスクに初めてさらされることになります。ロシアがそうした戦略を使うことを躊躇するようには見えません」

BS-TBS 『報道1930』 11月14日放送より