離島の医療や将来について考えるシンポジウムが、29日、高知県宿毛市の“常駐医師ゼロ”の島で開かれました。「Dr.コトー診療所」作者も登壇したほか、島への赴任経験がある医師が、重圧を感じる中でも医師として果たすべき使命などを語りました。

宿毛市片島の沖合24kmにある「沖の島」は、透明度が高く魚種が豊富な美しい海に囲まれた離島です。山の斜面に沿って積み上げられた石垣の景観は、「島の宝100景」に選定されています。

平成元年には600人ほどが暮らしていた沖の島ですが、一次産業の衰退とともに徐々に人口は減り、今では100人を切る状態だといいます。

シンポジウムは、「元気な島であり続けてほしい」との思いから、釣りバカ日誌・浜ちゃんのモデルで高知に移住した黒笹慈幾さんが、宿毛商工会議所や市などと協力して企画しました。

◆南国生活技術研究所 黒笹慈幾さん
「島の人たちに『これからどんなことをしたら良いでしょうか』と、問いかけるシンポジウムになります。高知大学の医学部の若い学生たちがたくさん来ていて、『これからの島の医療はどういう方向へ行くべきなのか』という話もさせてもらうので、それは楽しみかなと」

演歌歌手・小山雄大さんの曲「沖の島遥か」を地元の人が披露し、カラオケ大会のような雰囲気で始まったシンポジウム。基調講演では、医師が自身の経験をもとに、へき地医療の難しさを語りました。

◆高知大学医学部 家庭医療学講座 阿波谷敏英 教授
「大きな病院や都市部だと、いろんな診療科の専門の先生がいます。自分がわからないことは聞けばいい。しかし田舎だと全部1人でやらないといけない。経験したことのない治療でも『僕がやらなきゃな』と思うわけ。島に来ている診療所の先生たちも『自分がやらなきゃな』と思ってやったことが、たくさんあると思う」