車椅子に乗ったまま乗車することができる「福祉車両」。今、この車の利用者が死亡する事故が相次いでいます。原因は一体何なのでしょうか?

今月14日、東京・町田市で起きた交通事故。

110番通報
「デイサービスの車が電柱に衝突している」

当時、車には9人が乗っていて、うち8人は軽傷でしたが、“一番後ろ”で車椅子に乗っていた80代の男性が死亡しました。

実は今、「福祉車両」の急ブレーキや衝突事故によって、車椅子に乗ったまま乗車していた人が死亡する事故が相次いでいるのです。

なぜ事故が後を絶たないのか。「福祉車両」を貸し出す会社を取材すると。

株式会社アイ・ティ・エス 丸藤翔平 部長
「車椅子の固定が正しくされていない、シートベルトも正しく装着されていないといったことが合わさって、リスクが非常に高い」

試しに、車椅子を固定するフックを間違った場所につけてみると…

記者
「体が振られるくらい揺れが。フック外れましたね」

株式会社アイ・ティ・エス 丸藤翔平 部長
「シートベルトをしていなかったら、車内で放り出されてる可能性もあります」

本来、手すりの下や車輪の中を通すべきシートベルトを、別の場所から通してしまうと…

記者
「前に行くと、首とおなかが圧迫されてかなり苦しい」

株式会社アイ・ティ・エス 丸藤翔平 部長
「仮に急ブレーキをかけたら、このベルトはおなかを圧迫して大けがにつながってしまう」

この会社では6年前から貸し出し先への安全講習を行っていますが、民間の取り組みには限界があると話します。

株式会社アイ・ティ・エス 丸藤翔平 部長
「(安全講習を)制度化していただくとか、国や行政から危険性をもっと周知していただくのが大事かと」

こうした状況を受け、消費者庁はきょう、送迎中の車椅子利用者の事故について実態調査を始めました。

全国的な事故の件数を明らかにしたうえで、原因を分析するとしています。