高知海上保安部所属の巡視船「とさ」が、法定備品となっている「つなぎ形状の救命胴衣」を備え付けず1年以上航行していたことが分かりました。

高知海上保安部によりますと、巡視船「とさ」は2024年2月20日から2025年7月13日までの間、船舶安全法に定められた法定備品、「イマーション・スーツ」45着を備え付けていなかったにも関わらず、臨時検査を受検することなく、航行していました。
イマーション・スーツとは船舶の火災や沈没などで船外に脱出するときに着用するつなぎ形状の救命胴衣です。7月15日、9月に控えた船の定期検査の準備中、「とさ」の乗組員がイマーション・スーツがないことに気づき、事案が発覚。捜索しましたが見つかりませんでした。
原因について高知海上保安部は、職員が航行区域の変更に伴い、イマーション・スーツが不要になったと勘違いしたためだとしています。イマーション・スーツは2024年2月2日に陸上の倉庫に移され、3月15日に廃棄されたということです。
新たなイマーション・スーツは、7月24日「とさ」に搭載され、現在、法令違反状態は解消されていますが、第五管区海上保安部が船舶安全法違反の疑いで捜査しています。
高知海上保安部の佐藤哲(さとし)部長は「法執行機関である当部の巡視船が、法定備品を備え付けないまま航行していたことは、国民の信頼を損ねるものであり誠に遺憾であります。現在、事実関係については調査中ではありますが、今後再びこのようなことが起こらないよう、所属職員への指導を徹底するなど再発防止に万全を期してまいります」とコメントしています。