地域で集めた本を修繕して交換できる場を提供するボランティア団体があります。読み終えた本に再び価値を与え本と人をつなぐ活動を取材しました。

▼ビブリオサポートいずみ 松茂良毅 代表
「3冊ありがとうございます。読みたい本ある?とりあえず見てみる?」
地域のイベント会場で行われているのは「ブックシェアリング」。読み終えた本を持ち寄り、別の本と交換できる取り組みです。
――何の本を選んだ?
▼利用者
「100かいだてと星座とウォーリー」「誰かが大事に読んでいた本なのかなと思うので新品とは違った魅力を感じます」
活動を行うのはボランティア団体「ビブリオサポートいずみ」。読み終えた本を集めて補強・修繕をし交換する場を提供しています。
▼ビブリオサポートいずみ 松茂良毅 代表
「誰かが楽しんだ、喜んだ本をまた別の人につなげてどんどん本の輪が広がっていくのが感じられて楽しい」

代表の松茂良毅さん。図書館司書として25年のキャリアを重ねた、本のプロフェッショナルです。那覇市の繁多川図書館で働きながら、約5年前、この活動をスタートさせました。格差なくすべての人に読書を楽しんでもらおうと、これまでにおよそ3500冊を地域に届けてきました。
▼ビブリオサポートいずみ 松茂良毅 代表
「公民館や図書館がない地域とか離れていて、車もなくて行けないご年配の人や小さな子どもがいる人とか、支援を受けられていない地域があるのでその人たちに本を届ける活動ができないかと考えたのがはじまり」

月に1度の本の補強・修繕を行う日。平均約60冊を扱います。
▼ビブリオサポートいずみ 松茂良毅 代表
「使えるのでできるだけ直したい人気のある絵本なので」
破れたページをつなぎ合わせた、応急処置のセロハンテープ。丁寧に剥がしていきます。
▼ビブリオサポートいずみ 松茂良毅 代表
「セロハンテープでとめられているので、放っておくと酸化して黄ばんで汚くなるので…今のうち剥がして、図書館用のテープで補修しておこうと」

修繕ができた本はブックコーティングをして補強。本を長持ちさせます。作業場にやってきたこちらの親子は、ブックシェアリングの常連。月に1度作業場を訪れるのを楽しみにしています。
▼利用者
「成長とともに本を交換できるので活用しています。やっぱり子育てはすごくお金がかかるので絵本も子どもたちにいいものとされている中で何度も新しいものを買うよりもここでシェアした方が財布に優しくてありがたいです」

松茂良さんが本を届けるのは、子どもたちだけではありません。こちらは、那覇市の識名老人福祉センター。ビブリオサポートいずみが所蔵する本の中から、利用者のために本を選び、定期的に並べています。
▼ビブリオサポートいずみ 松茂良毅 代表
「健康の本とかエッセー集とかを主に置いていて」
貸し出し名簿もチェック。借りられている本のタイトルを見て、興味や関心を探ります。

▼ビブリオサポートいずみ 松茂良毅 代表
「『ババア川柳』が多く借りられているなとか『老害の人』とか同じ世代の人のエッセー集とか」
本の補強・修繕や選書を通して、必要とする人のもとへ届けるビブリオサポートいずみの取り組みは、SDGsの目標につながっています。

▼ビブリオサポートいずみ 松茂良毅 代表
「受け取って喜ぶ笑顔を見るとこちらも楽しい気持ちになってやっていて良かったとほんわかした気持ちになります。不要になった本でも誰かにとっては価値のある本自分たちが本を保存することで本と人との縁をつなげられたらと思います」
読まれなくなった本に命を吹き込み、届いていない人のもとへと足を運ぶ。読書を通して豊かになる人を増やすために、松茂良さんはこれからも、本と人をつなぎます。