タクシー運転手の機転が特殊詐欺の被害を未然に防ぎました。「お金が返ってくる」と話す乗客の様子から詐欺を確信。電話を代わって犯人を一喝するという勇気ある行動に、警察から感謝状が贈られました。

感謝状を受け取ったのは「くれは交通」の社長であり、自らもタクシードライバーとして乗務する中村竜次さんです。

中村さんは6月25日、80代の女性をタクシーに乗せました。

近くの郵便局まで運転していた際、女性が電話で話していた内容が、ふと気になりました。

女性は「通帳持ってきました。カードもあります」と電話の相手に伝えていました。

くれは交通 社長 中村竜次さん
「なにしに来たのって聞いたら(女性は)お金が返ってくるって言ったんですよ。お金が返ってくるわけないな、と思って。電話を持ってすごく困っている感じだったんで、(電話を)代わってあげるよって…」

漏れ聞こえてくる電話のやりとりから “相手は詐欺” と確信した中村さん。通話中だった女性の電話を代わって、一言…。

「お前誰だ、詐欺だろ」

…すると電話が切れたため、女性に詐欺の可能性があることを伝え、郵便局を通じて警察に通報しました。

くれは交通社長 中村竜次さん
「あんな、か弱いおばあちゃんだまして、お金取ろうとしとって。その先(詐欺被害)にいかなくて、よかったっていうのが強くて…」

「おかしい」と感じた時に一歩踏み込む勇気。中村さんの毅然とした対応が、一人の高齢者の大切な財産を守りました。地域に根差して走るタクシーの運転手による気づきと行動が、巧妙化する特殊詐欺を防ぎました。