「最もライバルになり得た選手だと」現役時代から信頼を置く名選手が“新戦力”に

Q:今年は新たなメンバーが加入すると聞きました。

イチロー:
僕が日本でプレーをしていた最後の3年くらいかな。日本人の選手としては、最も僕が勝手にライバルになり得た選手だと思った選手ですね。僕よりもずっとずっとスピードのある選手で、もちろんパワーもある。野球界の中ではこれ以上の身体能力を持った選手がいるだろうかと、当時思わされた選手ですね。松井稼頭央。

Q:(イチローさんが)日本を離れる一番最後のここ(神戸)での試合のときに、かけた言葉があると松井さんから聞きましたが、それは覚えていますか。

イチロー:
稼頭央が覚えてくれているのはすごく嬉しいですね。もちろん覚えてます。だって、そんな声かけるの稼頭央しかいなかったんで。

Q:イチローさんはなんて声をかけたという記憶ですか。

イチロー:
僕は日本を離れる可能性が高かったので、当時のパ・リーグって特にこの神戸でやる試合っていうのは寂しいものでした。95年、96年をピークにだんだんお客さんの数が減っていって、(松坂)大輔もいて稼頭央もいて、最後の西武対オリックスですね、試合は寂しい。数えられたから外野なんてもう。内野だって寂しいもんでしたよ。それでも、そこにいい選手がいれば見に来てくれるかも。いなかったらもう誰も見に来てくれないから。何とかパ・リーグを盛り上げるためにね、僕いなくなるし、野手としてパ・リーグを引っ張っていってほしい。僕がいなくなった後ね。だから頑張れよって。そういう趣旨の言葉です。

Q:そのときの稼頭央さんの反応って覚えてますか。

イチロー:嬉しそうにしてました。恐縮しながらもっていう感じ。すごく嬉しそうでした。

Q:今年のKOBE CHIBENでは、松井稼頭央さんに対して期待するところは?

イチロー:
稼頭央に期待することは、大輔とヒデマー(※松井秀喜のニックネーム候補)とは違います。2人やっぱね、なかなか思うように動くことはできない。今年もおそらく去年の状態とそれほど変わらないと推定してますけど。稼頭央は本気になれば、時間をかけて体を作れば、現役の選手としても、それは試合でいきなりとはなかなかいかないと思うけれども、練習を見ている限り、現役の選手よりも動けてるとか、やるんじゃないかと思わせる動きをまだできるんじゃないか、というイメージを持っているので。その本物のプロっていうのを見せてほしい、と期待しています。

Q:一日練習をして、どうでしたか。

イチロー:
昨日の練習では、肩を痛めていたのが想定外だったので。昨日はイメージよりも、半分ぐらいのイメージかな。キャッチボールでどうだろう、7,80mの遠投はできるんじゃないかと想定をしていたので、そこは計算外でしたけど。体はやっぱり締まっているし、6年でしょ、稼頭央だって現役引退してから。大したもんだよね、それは何か持って生まれた、その体の強さっていうのは、見るだけでわかったし、改めてあれがちょっとね、ふっくらしてるとちょっと残念な気持ちになったと思うけど。全くそれはなかったので。(後編へ続く)

【試合日程】
SATO presents「高校野球女子選抜」vs「イチロー選抜 KOBE CHIBEN」
8月31日(日)午後1時30分試合開始(バンテリンドーム ナゴヤ)