西日本豪雨からあさって(6日)で7年です。地域の防災力を高めたいと、かつて倉敷市消防局の消防士だった男性が、講演を行うなど様々な活動に取り組んでいます。

きっかけは倉敷市真備地区での救助活動でした。

(コーヒーを焙煎する音)
「においがよくないですか。香りもコーヒーぽくなってくる」

岡山県早島町に去年オープンしたカフェ。オーナーは元消防士の堀脇泰治さんです。消防士を辞め、自家焙煎の趣味が高じて店を構えたそうですが、もう一つ、顔があります。

(講演する堀脇泰治さん)
「自分で助かる力を養っておかないと、何かあったときに助からないよという話なんですね」

実は堀脇さん、防災に関する講演や避難時の携行品を販売する会社、「防災ネットワーク」の社長も務めています。会社をつくるきっかけになったのは、消防士の時の経験です。

2006年、倉敷市消防局に入局。地域で消防活動をする一方で、全国各地の災害現場にも出動してきました。

2018年の西日本豪雨では、家屋に取り残された人たちの救助活動に参加。この中で、すべての命を救うことができない現実に打ちのめされたといいます。

(堀脇泰治さん)
「思いとしてはみんなを助けたい。だけど助けられない」

災害から命を守るにはどうすればいいのか…堀脇さんが出した答えは、「自分で身を守る力=自助」の大切さを多くの人に伝えていくことでした。

(堀脇泰治さん)
「一番は自助、自分で助かる力。じゃあ自分で助かる力とは何なのかというのが、日々の防災への意識、知識を蓄えていくこと、認識を持つこと。それを考えなければいけない」

大規模災害が発生した際、消防などが被災者の元に辿り着くまでに時間を要するケースも多く、「自助の力」が生死を分けうるといいます。そこで講演などを通じて「自助」の大切さを伝えていこうと、今年1月に会社を立ち上げることにしたのです。

(堀脇泰治さん)
「線状降水帯が出てきたら雨が降るんだ、大変なことになるんだ。そういった認識を持っていただいて、自分は大丈夫なんていうことにあぐらをかかず、何かしらの対策、そして情報収集、そういったことをしていただきたい」

もし災害が発生してしまった場合には、長期の避難生活を送る被災者のために早島町のカフェを役立てたいと考えています。キッチンカーで避難所などに出向き、コーヒーを提供することで被災者の心のケアができればと考えています。

(堀脇泰治さん)
「コーヒーを飲みながらコミュニケーションが生まれて、その方々のメンタルケアにつながるという活動をするための、このコーヒーということを目指しております」

西日本豪雨からあさってで7年…。消防士の経験も生かしながら地域の防災力を高めようと奮闘する堀脇さんです。