■“死刑のハンコ”は決まり文句として繰り返す 

葉梨氏の“死刑のハンコ”をめぐる発言は1回だけではありませんでした。

葉梨氏(10月31日岸田派議員会合)
「法務大臣といいますと、だいたいテレビに出るのは死刑のハンコを押した日の昼のNHKぐらい」

ーー毎回のように挨拶の中で述べていた?

葉梨氏(午前9時すぎ)
「毎回のようにということではございません」

では、何回言ったのでしょうか。

葉梨氏
「確かめましたところ、東京のパーティーでは4回だと思います。あと地元のインフォーマルな会合、そこでも複数回

葉梨氏は決まり文句として“死刑のハンコ”発言を繰り返していたのです。

■現場の苦悩を理解していないと感じた元刑務官 「地味な仕事なら辞めればいい」

人の命を奪う行為でもある死刑執行。坂本敏夫さんは元刑務官として、その現場に複数回立ち会ったことがあります。

元刑務官 坂本敏夫 氏
「刑務官辞めて27年くらい経つんですけど、なかなか刑務所の夢は見ない年はないですね」

坂本さんは、葉梨氏の発言は現場の苦悩を理解していないと受け取ったと言います。

元刑務官 坂本敏夫 氏
「あまりにも命に対して軽々しいですね。冤罪があるかもしれないし、そんな地味な仕事だったら辞めればいいですね。受けなければいい。着任の挨拶で偉い人のところに行くだけでなく、現場を見てほしい

岸田総理は葉梨氏の後任として、齋藤健元農水大臣を任命しました。

ーー葉梨前大臣の辞任の経緯もあり、齋藤大臣の発言が注目を集めることになる

齋藤健 新法務大臣
「自分が果たさなくちゃいけない職責に影響が出るような発言は、現に慎まなくちゃいけないと思います」

そして、当初の10時間遅れとなる午前1時、岸田総理はカンボジアに向けて出発します。

■岸田総理の“判断の遅れ”が傷口を広げ“求心力低下”懸念の声も

小川彩佳キャスター:
今後の政権運営への影響について話を聞きます。

政治部 中村由希 記者:
政権へのダメージは避けられないばかりか、判断が二転三転したことで岸田総理の“求心力低下”を懸念する声も高まりつつあります。

取材を進めると、葉梨前大臣は岸田総理に対し「辞任の意思もある」と、10日までに伝えていましたが、総理自身が会期末まで1か月を切る中で大臣を交代すれば補正予算の成立や旧統一教会関連の審議に悪影響が出ることを懸念し、引き止めた形だったといいます。

更迭の後も党内の閣僚経験者などから「判断が遅すぎる」「タイミングは最悪だ」などと厳しい声が相次いでいて、山際氏の辞任に続き、総理自身の“判断の遅れ”が傷口を広げました。

物価高対策や旧統一教会問題などリーダーシップが求められる中、政権の先行きは予断を許さない状況となっています。