いわゆる「死刑のハンコ」発言で問題となっていた葉梨法務大臣について、岸田総理は11日の夕方になって”更迭”しました。山際氏の辞任に続き、総理自身の”判断の遅れ”が傷口を広げた形で、岸田総理の求心力低下を懸念する声も高まりつつあります。
■当初は発言を撤回せず続投判断だったにもかかわらず…夕方になって結局辞任に
11日午後3時、岸田総理を乗せてカンボジアに向かう予定だった政府専用機は、一旦キャンセルになりました。原因は葉梨法務大臣です。午後5時前、岸田総理に辞表を提出しました。

辞任した葉梨康弘 法務大臣
「第一は国民の皆様に不快な思いをさせてしまいました。第二は法務省の職員にも非常に不快な思いをさせたこと」
問題となったのは9日の発言。

「だいたい法務大臣は朝、死刑のハンコを押しまして、それで昼のニュースのトップになるのはそういうときだけという地味な役職なんです」
死刑執行を決める法務大臣を「ハンコを押す地味な役職」と発言。さらに…

「外務省と法務省、票とお金に縁がない。法務大臣になってもお金は集まらない」
発言が問題となるなか、葉梨氏は当初、撤回すらしませんでした。
葉梨氏(10日午前9時前)
「きのう(9日)の武井外務副大臣のパーティー。一部切り取られたことがあったとしても、それが誤った印象を与えるようなことは閣僚としてはしっかり気をつけなければならない」
ーー撤回は?
「いまのところそういう考えはありません」
ところが2時間後…

葉梨氏(10日午前11時頃 参・法務委員会にて)
「その発言について再度、お詫び申し上げるとともに、改めて撤回をいたします」
一転して発言を撤回したものの、辞任は否定。岸田総理も続投を宣言していました。
11日の午後になっても、続投の判断は変わりませんでした。
ーー葉梨大臣を交代させる考えは?
岸田総理
「10日から申し上げている通りです」
それが夕方になって、結局辞任という結末に…
ーーどのような心境の変化があったんでしょうか

葉梨氏(11日午後5時すぎ)
「ここは一旦辞職をして、いちから政治活動をやり直すという思いで辞表を提出させていただきました」
ーーいち早く更迭しなかったということは、総理としては問題発言だったという認識はなかったということなんでしょうか
岸田総理(11日午後6時前)
「問題がなかったなどとは思っておりません。説明責任をしっかり果たす。こういった指示を出し、葉梨大臣による発言の影響、私自身も重く受けとめ、辞任を受け入れる決断をしたところであります」
野党は批判を強めています。

立憲民主党 泉健太 代表
「決断が本当に遅い総理だなと。それが大きく国会や外交等々にも実際、日程に影響を与えている」
共産党 小池晃 書記局長
「岸田総理は内閣の最高責任者としての責任を取ろうとしないと。決断をしない。首相の資質はない。あの発言が出た段階で即罷免だと思いますよ」
TBSスペシャルコメンテーターの星氏は、こう指摘します。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩 氏
「岸田さん自身が謝罪撤回で済むのではないかと甘く考えていたところがあった。死刑の執行にサインをしなきゃいけないっていう場面になったときに、『この人は昼のニュースのトップになるためにサインしたのか』という反応になってしまう。今回の失言というのは非常に深刻で重いことだと思います」














