■団体競技の部活がピンチ 部活の優先順位に変化

難しいのは高校ではなく、中学校もなんです。チーム競技の部活が消滅する危機になっている学校が多くあります。
一つの原因は、少子化で部員が少なくなる。そうすると、チーム競技に人数が足りなくて成立しない。そうすると「あのサッカー部、8人らしいよ」ということで、新入部員もなかなか集まらなくなる。
実際にお話を伺ったのは、東京・杉並区立富士見丘中学校です。

バレーボール部 ▼2017年廃部
野球部 ▼2018年廃部
サッカー部 ▼2021年廃部
残っている運動部はバスケ部、テニス部、陸上部ということです。
富士見丘中学校・渋谷正宏校長先生に聞きました。
「部活動の優先順位が、塾や家庭よりも下になっている。子どものニーズに合わせた部活動の整備が必要」
■スポーツ庁も推奨 じわじわ人気“ゆる部活”
山内キャスター:
子どものニーズが一体どんなところにあるのでしょうか。スポーツ庁が提案しているのは、生徒の多様なニーズに応える“ゆる部活”というものです。

さきほどの杉並区立富士見丘中学校には、放課後の週2回、大会参加なし、スポーツを緩く楽しむ「トレーニングスポーツクラブ」というものがあります。
生徒たちが「きょうはドッジボールをしよう」「きょうは卓球をしよう」というふうに決めて参加するもの。
2022年からは、毎週土曜日に1回、ニュースポーツなどを楽しむ「マルチ・スポーツクラブ」も誕生しました。
HIPHOPダンスを踊る日もあれば、ニュースポーツの「ユーフォー」
というラクロスのようなスポーツを楽しんだりすることもある。

また、京都府立北桑田高校では、
高校にやりたいスポーツがない生徒向けの部活「フリースポーツクラブ」というものを作りました。
校長先生の発案だったそうです。
京都府立北桑田高校 徳廣剛校長
「私が発案。好きな時に活動し、部員同士でやりたい競技・練習内容を
決定する自主性を重んじた部活」
ということでキーワードは自主性と生徒たちの居場所、この2つなのではないかというのが新しい視点なんですよね。
井上キャスター:
私自身は部活に人生をかけてきたというか、勝利至上主義のところずっとやってきたので。でも、時代とともにやっぱり選択肢があって変わっていくべきなんだろうなと思います。
若新雄純 慶応大学特任准教授:
“ゆる部活”という言葉が出てきたので、僕、実は大学のラボに“緩い”という言葉がついてたりとか“緩い〇〇”というのを10年近くたくさんやってきて、ある町と中学校に“緩い放課後”というプロジェクトを提案したこともあったんですけど、そのときにやっぱり現場の方々が「難しい」とおっしゃったのは、まさに「自主性って何だ」って話で、あと「勝ち負け」とか「数字ばっかりじゃ駄目だよね」って言うけど、「勝ち負け」や「数字」って何のためにやっているのかがわかりやすいというか自分たちで考えなくても、頑張れるとか目標が設定しやすい。
テレビも一緒じゃないですか。「視聴率至上」ってどうなのかって言うけれど、視聴率には表れない番組の価値とか意義というものを説明するのってすごく難しくて、だからとりあえず「大会目指そう」とか「優勝を目指そう」ということでやる意義を置き換えてきてしまったと思うけど、僕らはそういった、ゆるさの中に自分なりのやることの意味とか、価値みたいなものを自分たちで考えることが求められてきているんだと思いますよね。
ホラン千秋キャスター:
私なんかは帰宅部だったので本当にあれぐらいの緩さがあった方が、毎朝の7時半からの朝練無理、とか毎日放課後無理って思ってるタイプからすると、これぐらいのやりたいときに楽しくやろうよっていう仲間がいるのは嬉しいなっていうふうに思います。
井上キャスター:
絶対選択肢があることはいいと思います。
私なんか、7時半から朝練って言われたら、5時に行くタイプですよね。
若新雄純 慶応大学特任准教授:
自由でいいと言われたら、一番早く行っちゃうタイプなんですね。そういう自分で選ぶっていうのが意外と難しいんですよね。














