■歩道は狭いところでおよそ40センチ…


さらに上流に伸びる「日電歩道」と合わせて、かつて歩荷(ぼっか)と呼ばれる人たちが黒部ダム建設のための資材を運びました。


吉澤ディレクター:
「岸壁には針金が張ってあるので、それを手掛かりに進んでいきます。狭いところだと40cmほどしか幅がないです」




「黒部の怪人」とも呼ばれる奥鐘山が姿を見せました。



前から歩いてくる登山者、すれ違うのも命がけです。




狭い道幅を譲り合いながら通過


落ちたら即死を意味する「黒部に怪我なし」。
言葉通りの場所です。



雪崩や鉄砲水を避けるためのトンネル。天井は低く照明はありません。ヘッドライトの明かりだけが頼りです。


トンネル内部 360度カメラで撮影
ヘッドライトの明かりだけが頼り



出発から2時間半、最大の難所が現れました。「大太鼓」と呼ばれる岩をコの字にくり抜いたおよそ100メートルの区間です。



吉澤ディレクター:
「幅が50~60センチほどしかない」
「眼下に黒部川が…高度100m以上ありますね」




吉澤ディレクター(取材後の振り返り):
「歩くたびにザックが岩壁にこすれて、ヘタをすれば落ちるんじゃないか、自分の命の危険を感じる場所でした」


吉澤ディレクター:
「どちらから来られたんですか」

男性:
「地元は須坂市なんですけど、新潟の湯沢に住んでいます。天気も良くて、紅葉も今年ちょっと通れる期間が短くて、来られるかなと(思っていたんですけど)タイミングよく来られてよかったです」



出発から5時間、たくさんのテントが見えてきました。宿泊地、阿曽原温泉小屋のテント場です。ルート内で唯一の休憩ポイントで、ここでは露天風呂に入ることができます。疲れ切った体を温め、早めに就寝。翌日に備えます。

阿曽原温泉小屋のテント場
露天風呂から見る紅葉は格別