アメリカのトランプ大統領は、中東シリアへの制裁を終了させる大統領令に署名しました。ただ、アサド前政権を対象にした制裁は継続されます。

トランプ大統領は先月30日、アメリカ政府がシリアに課していた制裁を終了するための大統領令に署名しました。

トランプ氏は5月の中東訪問の際に制裁を解除する方針を表明し、シリアのシャラア暫定大統領とも面会していました。

ホワイトハウスのレビット報道官は大統領令について、「シリアの安定と平和を促進し、支援するための措置だ」としたうえで、アサド前大統領をはじめとする前政権の関係者らへの制裁は継続されると強調しました。

また、シリアをめぐっては、トランプ氏の仲介でイスラエルとシリアの安全保障協定締結に向けた予備段階の協議が行われているとニュースサイト「アクシオス」が報じました。

トランプ政権はこれまでにシリアに対して、イスラエルとの関係正常化への期待を伝えてきており、シリアの安定化を進める同時に、アサド前政権の後ろ盾となっていたイランの影響力を排除する狙いがあるものとみられます。

アメリカのトランプ大統領がシリアへの制裁を終了させる大統領令に署名したことを受け、シリア暫定政権のシェイバニ外相はSNSで「シリアの繁栄、安定、国際社会への開放という新たな段階に前進する重要な転換点となる」と、制裁解除を歓迎したうえで「復興と発展への扉が開かれるだろう」と述べています。