南米ペルーの最高峰、ワスカラン山で長野県在住の女性クライマーとともに遭難して死亡した山梨県の女性医師の遺体が、日本時間の28日夜、収容されました。

死亡したのは、山梨県北杜市に住む医師でクライマーの稲田千秋さん40歳です。

稲田さんが所属するウィルダネスメディカルアソシエイツジャパンが設置した遭難対策本部によりますと、稲田さんは、長野県在住のクライマー、寺田紗規(さき)さん35歳とともに、6月上旬にペルーに入国した後、ペルーの最高峰となる標高6768メートルのワスカラン山に登りましたが、日本時間の24日の午後3時半ごろ、山頂直下の6600メートル付近で、低体温症とみられる体調不良により動けなくなり、26日の午前8時ごろに、合流した救助隊により現場で死亡と判断されました。

現地では、寺田さんの救助活動が行われ、救助隊により避難小屋まで運ばれた後、27日の午前4時半ごろに意識のある状態で、ヘリコプターで麓の病院に収容されました。

遭難対策本部では、その後も稲田さんの遺体の収容に向け現地との調整を続け、28日の午後9時半前に救助隊により麓に搬送されたということです。

稲田さんら2人は、1年前に現地を下見したほか、トレーニングを積んで周到な準備をしていたということで、遭難対策本部長でWIMA代表理事の横堀勇さんは、死亡した稲田さんに向け、「チッペへ あなたの『より良い山岳医療の世界』という目標に向けた飽くなき探究心や行動力、情熱はバトンを受け継いだ私たちがきっと実現していきます。そしてあなたのクライミングスピリッツに心から敬意を表します。いまはゆっくり休んでくださいね。おやすみ。」とのコメントを出しました。