
国の予算を議論する審議会の資料を見ると、2022年9月までにファイザーやモデルナなど8億8200万回分のワクチンが約2兆4000億円で調達される予算になっています。これは流通費も含む金額ですが、単純計算するとワクチン1回分は2725円。東京23区で廃棄されたワクチン100万回分に当てはめると、総額は27億2500万円にのぼります。

全国では、どれほどのワクチンが廃棄されているのでしょうか?
後藤茂之 厚労大臣(当時)
「ワクチンの廃棄数の調査は、現時点で行うことは考えていない」(ことし5月)
政府は、新型コロナワクチンの廃棄数について調査を行っていません。ただ、ワクチンにかかる費用は全て国費、つまり私たちの税金です。
専門家は「検証が必要」だと指摘します。
国の予算に詳しい 慶応大学 土居丈朗 教授
「廃棄したものは全部無駄だったとまでは言えないが、本来廃棄しなくて済んだかもしれない。もっと工夫をすれば予算を節約できたかもしれないという余地があるのかないのかということも、検証可能な形で金額を出すなり、きちんと説明責任を果たして頂くことが必要だと思う」
■“必要な人に届けるために” ワクチン廃棄の実態把握が必要

TBS社会部都庁キャップ 寺川祐介 記者:
新型コロナのワクチン調達にかかった予算は2022年9月までで2兆4000億円(8億8200万回分・流通費含む)です。私たちの取材では、東京23区だけでも100万回分のワクチンが未使用のまま廃棄されたことがわかっています。これは単純計算で約27億円分です。廃棄の費用もまた税金です。全国で見ればかなりの数が廃棄されているのは確実です。
小川彩佳キャスター:
2021年の1回目・2回目の接種時にはワクチンが足りないという事態になった。こうしたことがないように、という意識が影響したのかとも想像しますが?
寺川記者:
国としては対象となる全ての国民にワクチンが行き渡る数が必要だったので、結果としてワクチンが余ってしまったこと自体は仕方ない側面もあると思います。
ただ、国はどれくらいの数が廃棄されたのかなどについて「検証しない」と言っています。ただ、こうした検証を行うことが必要な人に必要な量を届けつつも、ワクチン廃棄を減らす事につながります。まずは実態を把握して、情報を開示することが求められます。