全国各地で活躍する「地域おこし協力隊」ですが、任期を終えると、地元を去ってしまうケースが少なくありません。広島県の元高校教師を迎え入れた、日本海に面した北海道の小さな村が取った、新たな“一手”です。

◆《約1200人が暮らす小さな村に移り住んだ元高校教師(36)》


 今年4月から北海道で暮らし始めた藤原将智(まさとも)さん36歳。広島県の元高校教師です。

藤原将智さん(36)
「海があって、すぐ崖があって…海岸段丘といって波によって削られた崖なんです。そんなことを高校で教えていた」

 藤原さんが暮らすのは、日本海に面した北海道の島牧村。人口は1200人あまり、過疎化が止まりません。そんな小さな村に移り住み、藤原さんは「地域おこし協力隊」としての活動を始めました。

地域おこし協力隊(島牧村)藤原将智さん(36)
「山はきれいだし、自然は豊かだけれど、人がいないですよね」

◆《任期終了後に定住した協力隊は10年で1人》

 “村を素通りしないでほしい…”そうした願いが名前にこめられた、道の駅『寄ってけ!島牧』。

村が迎え入れた今年度の協力隊は、藤原さんを含め3人です。外資系の医薬品メーカーで支店長だった59歳の男性に…。


小学校の元校長だった、上富良野町出身の60歳の女性と、島牧村が迎え入れた地域おこし協力隊の経歴はさまざまです。

道の駅の客足が収まった午後、藤原さんは、ある場所へ向かいました。

地域おこし協力隊(島牧村)藤原将智さん(36)
「こんにちは…閉まっている」「ここは可能性がありますね。電気もたぶん来てますよね」

周辺は人の営みが消え、空き家が並んでいます。藤原さんは、自分に続く『地域おこし協力隊』の、生活の拠点を探しています。

地域おこし協力隊(島牧村)藤原将智さん(36)
「空き家をリフォームして、リノベーションして、住めるような状態にしないと、次に協力隊が入ってこない…住処がないので」

『地域おこし協力隊』の任期は3年。その後の定住も見据えた制度です。ただ島牧村では、10年で6人を迎え入れましたが、定住したのは1人に留まります。