広島を訪問している天皇皇后両陛下は20日、2014年に発生した広島土砂災害の被災地を訪問されます。災害後に建設された広島市安佐南区の砂防堰堤を訪問し、災害の教訓を伝える「広島市豪雨災害伝承館」を視察する予定です。
広島土砂災害は2014年8月20日未明、広島市北部で線状降水帯が発生。複数の地点で土石流が起こり住宅を襲いました。災害関連死を含めて、77人が亡くなりました。

両陛下は20日午前、広島市安佐南区八木の小原山砂防堰堤を訪問。この地区では、23人が犠牲になりました。
両陛下は、土砂災害の被災状況や砂防設備の整備などが書かれたパネルの前で担当者から説明を受けました。その後、住宅があった方向へ向き、黙礼されました。

両陛下が視察する「伝承館」は、2023年9月に開館。災害の教訓を次世代に伝えようと、地元住民で作るグループの声から誕生しました。被災した住民が運営に関わっています。当時の状況や被災者の体験を伝えるほか、災害時には飲み物や食べ物が無料で提供される「防災自販機」や簡易トイレや消毒液も備蓄されています。

両陛下は、自身も被災した高岡正文館長の案内で館内を視察。高岡館長は、伝承館が作られた経緯や、災害の教訓を伝える取り組みについて説明しました。
視察後には、家族を亡くした澤本恭宏さん(54)と娘の陽奈さん(24)親子と懇談。澤本さんの母(当時77)が犠牲になりました。当時中学1年生だった陽奈さんは、災害の経験から、誰も同じ目に遭わないようにと大学で防災を学びました。2人は、防災の講演会などでも教訓を伝えていることなどを両陛下に伝えました。