SDGsについて考えるシリーズ、「つなごう沖縄」。今回紹介するのは、障がい者の就労支援を行う事業所「みらコラボ」の取り組みです。様々な依存症を乗り越え、社会復帰を目指す男性を支える現場を取材しました。
那覇市に住むオグさん(39)。就労支援を受けながら、社会復帰を実現しようと、パソコンでAIを使った作業に励んでいます。20代の4年間、ひきこもりの生活を送っていました。
ー実家にずっとこもっていた?
▼オグさん(39)
「そうですね。アルコールと薬物も使ってました」
10代後半からドラッグに手を染めたオグさん。アルコール、ギャンブル、薬物など様々な依存症を発症しました。24歳からの15年間、全国の施設を転々とし、去年、県内にある依存症のリハビリ施設を離れ現在、社会参加1年目です。
▼オグさん(39)
「人と同じことができなかった。優先順位が、朝起きたら車に乗ってパチンコ。ずっと前向きにやってきたんですけど、やり方が分からなかった。どうにか正 したいとか、どうにか経済的に自立したいと思っていたんだけど、その手段がギャンブルだったり、ちょっと普通の人とは違う道を通っていました」
オグさんをサポートするのが、那覇市にある「みらコラボ」。様々な事情で、雇用契約による就労が難しい人たちを支援する事業所です。みらコラボで支援を受ける登録者は60人。うち32人が通所支援、6人が在宅で支援を受けています。
トレーディングカードの仕分けに、手編みの作品づくり、AIを使ったパソコン操作など、それぞれの「得意」をいかした作業です。
▼利用者
「ペイントで書いて、それをチャットGPTで読み込ませました」
AIで加工したデザインをTシャツにして販売するなど、収入につながるきっかけが広がっています。
▼みらコラボ 友利陽子さん
「まずこっちに通所する、仕事をするということに慣れる、そこからステップアップしてパソコン作業にいって、一般就労に移れたらいいなというのがあったので、皆さんの得意なことを聞いて、じゃあそれを作業として、職員が取ってくる形でやらせていただいているので、すごく色んな作業があります」
多くは、精神的な問題を抱え仕事ができない、あるいは続かないことが壁になっていました。
▼みらコラボ 友利陽子さん
「収入面が安定してこその精神的安定だったり、次のことを考えられるということが、皆さん共通してあるのかなと思いますね」
こうした障がいのある人が能力を発揮し、自立できるよう支える取り組みは、SDGsの目標にもつながっています。
オグさんがみらコラボに通い始めてから2か月。変わったのは生活だけではありません。
▼オグさん (39)
「発言するのもずっと怖かったんですよ。『こう思われたら…』『なんか言われたら…』と、ずっと怖かったんですけど、言えるようになってきて、だんだん人の輪の中にいれるようになりました」
みらコラボの紹介でサッカーチームにも参加するなど、自らの意思で、生活と向き合うようになりました。今の目標は、生活保護を抜け出すこと。
▼オグさん(39)
「体力もついてきたので、サッカーも始めて体力をつけて、9時間労働できるようになれば、一般就職か、またそのとき相談だとは思いますが、『社会参加』からちゃんと『社会復帰』して、国のお世話にならず、経済的に自立できればなと思っていますね」