10月に倉敷市の養鶏場で、今シーズン全国で初めてとなる鳥インフルエンザが確認されて以来、各地で感染が相次いでいます。


発生の原因や今年の傾向について、専門家に聞きました。

■「すでにウイルスは全国に広がっています」


最初に「ニワトリが次々死んでいる」と報告があったのは10月27日、倉敷市の養鶏場でした。今シーズン全国で初めてとなる高病原性鳥インフルエンザの発生です。


さらに11月1日には、瀬戸内海を渡った観音寺市でも感染が確認されます。


なぜ岡山・香川で相次いで発生したのか、野鳥のウイルスの研究を行う鳥取大学の山口教授は、「すでにウイルスは全国に広がっている」と分析します。


(鳥取大学農学部 山口剛士教授)
「今現在、北海道から九州に至るまで、現在全域で次々と野鳥からウイルスが検出されている状況ですので、もう『日本国内どこにでもウイルスは存在しうる』と考えていいだろうと思っています」


「岡山県とか香川県というのは、比較的他の場所と比べると『ため池が多い地区』だと思いますので、水鳥がもし感染していれば、ウイルスを持ってそういう場所に訪れる。その結果リスクが高まるという背景はあるかもしれない」

■背景にはヨーロッパでの爆発的な感染

鳥インフルエンザを各地に運んでいるのは、「渡り鳥」との指摘もあります。近年ウイルスは、アジア以外でも猛威を振るっています。


(鳥取大学農学部 山口剛士教授)
「ここ数年、特にヨーロッパの方で、猛烈な発生が続いている状況になっています」


「日本国内でも早いうちに入ってくる背景の一つとしては、ヨーロッパでの爆発的な感染状況というのが背景にあって、その結果として日本国内にも早いうちにウイルスが侵入したのかなと」

■カラスの群れからも感染を確認 カモ類や猛禽類を食べ拡大?


山口教授によると近年、新たな感染を拡大する疑いがある鳥がいます。カラスです。


これまでは、あまり感染の報告はありませんでしたが、2021年から北海道や東北で、カラスの群れからの感染が確認されるようになったといいます。


(鳥取大学農学部 山口剛士教授)
「今シーズンも、カラスで感染が見つかったという話をきいていますので、ひょっとすると以前よりも『カラスに感染しやすいようなウイルス』になってきているのかもしれない」


「特にカラスの場合は雑食性ですので、感染したカモ類とか猛禽類でもいいんですけど、そういった鳥の肉を食べることによって次々と広がっていって、そのうちの一部が養鶏場の近くにいくということは、十分リスクとしては考えられるので」


また、4日には倉敷市の別の養鶏場でも鳥インフルエンザが発生。防疫措置もとられていますが、それでも今後も発生が止まらない恐れもあるといいます。


(鳥取大学農学部 山口剛士教授)
「まだシーズン始まったばかりですので、これからまだまだカモの仲間たちはどんどんやってきますし、新たなウイルスの侵入というのも考えられるわけですので」


「春、ゴールデンウイーク、そのくらいまでは警戒を続けていただいて、少しでもリスクを減らすような対応をしていただければ」