2023年4月、富山地方鉄道で保線作業中に作業員の男性が列車にはねられ死亡した事故で、当時の現場責任者が注意義務を怠ったとして業務上過失致死の罪に問われている裁判の初公判が開かれました。弁護側は線路内の作業についての富山地鉄の内規は守られていなかったため、事故を防ぐことはできず現場責任者の「過失はない」として無罪を主張しました。

事故現場=2023年4月

業務上過失致死の罪に問われているのは富山県滑川市の無職、堀内基被告(52)です。

起訴状などによりますと、堀内被告は2023年4月、富山地方鉄道の線路保線作業に現場責任者として列車の接近を監視する見張員でしたが、列車が通過する2分前までに作業員を退避させて列車との接触事故を防止すべき業務上の注意義務を怠り、当時19歳の作業員を死亡させた罪に問われています。

18日に富山地裁で始まった裁判で堀内被告は「その通り」と起訴内容を認めました。

ただ、弁護側は富山地鉄の内規である「技術関係従事員触車事故防止要領」で、
▼列車の見張員は見張りに専念
▼保線作業を行う場所から10メートル以上離れた場所に見張員に配置
▼見通しの距離が500メートル以上確保できる位置に中継見張員を配置
と規定されているにも関わらず、堀内被告は事故当時保線作業にあたり、離れた場所で見張りに専念できなかったこと。また、中継見張員を配置しなかったことから事故を防ぐことはできず堀内被告に過失はないとして無罪を主張しました。

検察側は現場責任者として列車が通過する2分前に作業員を退避させなかったと主張しました。