「アラスカを縦断するパイプラインを建設し、LNG=液化天然ガスを日本など東アジアに輸出する」。アメリカ・トランプ大統領の肝いりの壮大な構想で、日米首脳会談でも話題になる可能性があります。期待が高まるアラスカの現場を取材しました。

北極圏に位置するアラスカ北部のプルドーベイ。この地は「永久凍土」で、6月に入っても気温は氷点下です。

記者
「アラスカ北部の天然ガスの生産拠点です。こちらは現在、使われている石油のパイプラインですが、これに並行するかたちで1300キロにおよぶ天然ガスのパイプラインを建設しようとしています」

この北の大地に大量の天然ガスが眠っています。

今月、大規模な開発をアピールする式典が開かれました。

アメリカ バーガム内務長官
「同盟国にとっても、繁栄の土台になります。我々が十分なエネルギーを確保し、同盟国に輸出すれば、彼らは敵対国から購入する必要がなくなります」

トランプ政権は大量の天然ガスを液化し、日本や韓国、台湾などに輸出することを目指していて、各国に共同開発を呼びかけています。

松尾剛彦 経済産業審議官
「天然ガスの調達多様化を図っていくことは、非常に重要。アラスカLNGプロジェクトの詳細なり、現在の検討状況について、さらに詳しい情報に接することができれば」

この計画は、トランプ大統領の肝いりです。LNG=液化天然ガスを輸出できれば、貿易赤字が減らせるとみて、強いこだわりをみせています。

アメリカ トランプ大統領
「我が政権は、アラスカで世界最大級の天然ガスパイプライン開発に取り組んでいる。日本や韓国などがパートナーになりたがっている」

ただ、アラスカでは過去に何度となく同じような計画が浮上し、頓挫してきた歴史があります。

これから建設するガスパイプラインの距離は、実に1300キロに及びます。日本地図に当てはめると、東京と沖縄本島を結ぶような距離です。通り道には3つの山脈に加え、数百の川があるという厳しい環境で、440億ドル=6兆円を超える巨額の費用がかかると指摘されています。

それでも、トランプ政権は2031年にもLNGの生産を始める強気のスケジュールを描いています。

アメリカ バーガム内務長官
「パイプラインの建設に何年もかかると聞いたトランプ大統領は、我々に“なぜ、もっと早くできないのか?”と言ってきたんだ」

パイプラインの「出口」となるアラスカ南部の街でも、計画への期待が高まっています。

ピーター・ミキチ市長
「ここがLNG施設の建設予定地です」

こちらの海岸沿いに天然ガスを液化する施設と海上桟橋の建設が予定されています。

ピーター・ミキチ市長
「かつてのような日本との商業と友好関係を取り戻し、双方に安定をもたらしたい」

アラスカでのLNGプロジェクトは、来週の日米首脳会談でも議題になる可能性があります。高まる期待に石破総理はどう対応するのでしょうか。