原爆投下直後に降った黒い雨を浴びた記憶があるものの被爆者に認定されなかった岡山市の女性が、県に対して被爆者健康手帳の交付などを求め起こした裁判です。

県内では初となる「黒い雨訴訟」。岡山地裁で第1回口頭弁論が開かれました。訴えを起こしているのは岡山市に住む84歳の女性です。女性は80年前、4歳の時に広島県旧津田町の自宅近くで黒い雨に見舞われたといいます。

(岡山市在住の原告の女性)
「真っ暗くなって雨が降り出したので黒い雨が、もう帰ろう帰ろうといって、母が自分のかぶっていた麦わら帽子を私にかぶせて、母は手ぬぐいをかぶって急ぎ足で帰った」

黒い雨を巡っては2021年、広島高裁がより広い範囲で降った可能性が高いとして、原告84人全員を新たに被爆者と認めました。女性は自分も黒い雨に遭った確かな記憶があったため、昨年3月、岡山県に被爆者健康手帳の交付を申請。しかし、これが却下されたため、処分取り消しなどを求めて提訴したということです。

きょうの第1回口頭弁論で女性の弁護団は、「女性が具体的かつ迫真性のある供述を行っていることなどから、黒い雨に遭ったことが確認できる」と主張。これに対し県は、「黒い雨が降ったと認定された地域にいたことを客観的に確認できなかったことなどから申請を却下した」と棄却を求めました。

原爆投下から80年、女性の記憶と訴えは司法の場でどのように判断されるのか。第2回口頭弁論は8月19日に開かれる予定です。