UNFPA=国連人口基金は10日、「世界人口白書」を発表し、誰もが自由に出産に関する選択をできるようにすべきだと訴えました。

UNFPAは毎年、世界の人口問題についてまとめた「世界人口白書」を発表していて、今年は「出産をめぐる真の課題」をテーマに調査を行いました。

14か国、およそ1万4000人を対象とした調査によると、生殖年齢とされる成人のおよそ5人に1人が「望み通りの数の子どもを持つことができないと思う」と回答。

望む数より子どもが少なくなってしまう理由としては、子どもを望む人のうち▼半数以上が雇用の不安や家賃高騰などの経済的な問題▼24%が不妊症など健康上の問題▼19%が気候変動や戦争といった将来への不安を挙げました。

このほか、「自分またはパートナーが意図しない妊娠を経験した」と答えたのは全体の32%でした。

「世界人口白書」は多くの人が望む形で出産できない背景には、経済的な問題のほか、避妊・不妊治療などの医療サービスの欠如、ジェンダー不平等などがあるとしています。

また、UNFPAは出生率目標などの単純化された対策は多くの場合に効果が乏しく、人権を侵害する恐れがあると指摘。

誰もが自由に出産に関する選択ができるよう、適正な労働環境の整備や、信頼できる情報へのアクセスを可能にすることなどを各国に求めています。