緊迫するウクライナの現状について、コルスンスキー駐日ウクライナ大使にNスタのホラン千秋キャスターがインタビューしました。コルスンスキー大使は「最悪の犯罪」と侵攻を続けるロシアへの憤りを語るとともに、これまでの日本政府の対応に敬意を示しました。(取材:2022年3月10日)
--今のウクライナの状況をどのようにご覧になっていますか?
戦争が始まってからすでに2週間が経過しました。我々はただ戦っているばかりでなく激しく戦っています。ロシア軍は全く前進していません。ただ、いくつかの南部の地域は一時的にロシアに占拠されています。
最悪な事態は9日に発生しました。マリウポリで意図的に小児病院と産婦人科病棟が爆撃されました。彼らは当然すべて承知しているのです。最悪の犯罪です。
--当初ロシアは(ウクライナの)市民を攻撃しないと表明していました。しかしいまは市民や子供、病院を攻撃しています。
国際社会や国際刑事裁判所に訴えています。プーチンの当初の計画は軍のインフラを破壊することでした。正確なことは知りませんが、噂では彼は取り巻きから、ウクライナ国民はロシア軍が来るのを見てとても喜ぶだろうと言われていたという。ロシア軍を解放者として迎えて政権と大統領を変え、その後、ずっと幸せに暮らすというのです。しかしそのようなことは一切起きていませんし、そのようなことを期待することはナンセンスです。我々は自分の国で自分たちが選んだ政府の下で暮らしたいと思っています。
ロシアは上手くいかないことがわかると事前に計画していたほかの作戦を始めました。住宅街に恐怖を植え付ける作戦です。冬ということもあり、都市部のインフラ、電気、水、暖房を攻撃し始めました。キエフでは零下18度まで下がり、暖房がないと生きられません。しかしその作戦も失敗に終わりました。
インフラを破壊するために小集団のテログループが派遣されます。しかし我々の防衛隊は十分に強力でこうしたグループを撃破し町から撃退することができました。ですからいまひどい攻撃を受けている一部の小都市を除いては、ロシアのインフラ攻撃は上手くいきませんでした。そうしたこともあってか、彼らは無差別の攻撃を始めました。住宅地には25階建ての高層ビルなどがありますが、そこに向けてミサイルを撃ち始めました。これが現在の事態の始まりでした。徐々に変わっていき、ついに爆弾やミサイルで病院や幼稚園、学校を攻撃するようになりました。彼らにとってもはやどちらでもよくなっていたのです。
--プーチン大統領に誤算があったと思いますか?
1000%彼の誤算です。彼自身か彼の周辺の誤算なのかわかりませんが、ウクライナ、ウクライナ軍を巡る最も驚くべき誤算です。西側の予想はキエフは48時間から72時間で制圧できるというものでした。しかし2週間たってもキエフは機能しています。店に食料品を買いに行ったり薬局に薬を買いに行ったりすることもできます。供給が元通りではないのはもちろんですが、街は動いています。
--日本は皆さんを守るためお金や生活必需品などを提供できると思いますが、武器などを提供するのは難しい。日本の責任とウクライナに対する義務の間に矛盾は感じますか?
いいえ。我々は日本の役割、政府の立場を十分にリスペクトしている。我々は違法なことを日本に要請するつもりはありません。我々はすべてのルールに従っているし、日本政府は我々の要請に対して最大限の積極的な姿勢を見せてくれています。
--ゼレンスキー大統領とは個人的に直接連絡を取れるのでしょうか?
いいえ。彼とは連絡が取れません。彼との連絡は暗殺の恐れがあるので強く制限されています。彼らを危険な状態に置かないための特別な措置が採用されています。しかし必要な情報は当然当局から得られます。方法は明らかにできませんが、何が進行しているかはよくわかっています。キエフ側も日本で何が起きているかを把握しています。我々はキエフで進行中の事態をできるだけ正確に伝えようと努力しています。
ゼレンスキー大統領は24時間忙しく働いています。直接連絡を取るのは難しいです。イギリス議会などでも演説しました。
--大統領は大統領府からビデオを投稿していますが、危険ではないのでしょうか?
彼を守る特別な対策をとっています。彼は「自分はここにいると国民に分かってもらわなければならない」と言います。なぜなら「立ち去った」とか「彼は安全なところにいる」という噂が流れているからです。
キエフは人口3~400万人の大都市で、郊外もあり広大な領域です。市民全体が街から外へ移動することなどできません。ですから市民は家にとどまっています。そんな彼らには、大統領がいる、市民とともにいる、と知らせることが重要です。
00:00 今のウクライナの状況をどのようにご覧になっていますか?
01:21 当初ロシアは(ウクライナの)市民を攻撃しないと表明していました。しかしいまは市民や子供、病院を攻撃しています。
04:26 プーチン大統領に誤算があったと思いますか?
05:25 日本は皆さんを守るためお金や生活必需品などを提供できると思いますが、武器などを提供するのは難しい。日本の責任とウクライナに対する義務の間に矛盾は感じますか?
06:24 ゼレンスキー大統領とは個人的に直接連絡を取れるのでしょうか?
07:37大統領は大統領府からビデオを投稿していますが、危険ではないのでしょうか?
注目の記事
「すごく運転がうまくて憧れた」中学時代からの夢、バス運転手へ 19歳デビューは県内初 地域の足支える若き担い手に期待 富山

年金の「強引徴収」で経営危機に陥る運送会社...20人以上の運転手解雇 『社員が横領』犯罪被害で厚生年金の猶予を申請...年金事務所は「猶予する理由がない」原因は職員の"勉強不足"か

「ホラーブーム」なぜ今?美術館やプラネタリウムでも“没入型”ホラーに絶叫【THE TIME,】

妊婦はねられ死亡“胎児も被害者と認めて”父の訴え「声を上げなかったら…このまま終わった」検察が一転 脳障害の女児の被害を立件可能か追加捜査へ【news23】

なぜ“懲役8年”なのか…時速194キロ死亡事故 「その数字が頭の中をぐるぐる」遺族の静かな怒りと控訴審への思い

「50ccって便利だったので残念」ガソリン原付バイク2か月後に新車の生産終了へ 販売店から切実な声「売り上げに直結する重要な問題」
