トランプ政権が推し進める「多様性を認めない政策」。アメリカに住む性的マイノリティー=性的少数者やその家族は危機感を訴え、中には国外への亡命を求める家族まで出てきています。

記者
「雨が降っているにもかかわらず多くの人が集まり、性的マイノリティーの権利を訴えています」

首都ワシントンでは8日、性的マイノリティーの権利向上などを求めて全米最大規模のパレードが行われました。

参加した人が口々に漏らしたのは…

参加した人
「トランプ政権はトランスジェンダーの存在を消そうとしていますが、許されることではない」
「トランプ氏や政権がトランスジェンダーに反する方針を示すたびに、誰かを死に追いやっていると真っ先に思ってしまいます」

アメリカ トランプ大統領
「本日から、性別は2つだけであることを米国政府の公式方針とする。男と女だけだ」

大統領に就任早々、多様性に関するサイトを相次ぎ閉鎖したり、多様性を尊重する教育の見直しを学校に指示したトランプ大統領。

性的マイノリティー、特にトランスジェンダーとその家族たちは、こうした政策に恐怖を感じ、アメリカ国外に移住しようとする動きも出ています。

13歳のグレイソンさん。女性として生まれましたが、自らを「男性」だと自認するトランスジェンダーです。トランプ氏の発言を聞き「自分の存在がないものとして扱われた」と恐怖を感じたといいます。

グレイソンさん
「(アメリカでは)自分がトランスジェンダーとは絶対に言えなかった」

アメリカでは性的マイノリティーの若者のおよそ4割が自殺を考えたことがあるとの調査結果もあり、グレイソンさんの母は、わが子が「最悪の選択」をしないことを優先したといいます。

グレイソンさんの母親 ケイトリンさん
「私の最大の心配は、子どもたちの精神状態がどうなるかということです。子どもたちを自殺で失ってしまうのか」

一家は今年3月、アメリカ東部イリノイ州から車でカナダとの国境を越え、亡命を申請しました。

申請の結果が出るまで一家はカナダで暮らすことが許可されました。

グレイソンさん
「カナダでは怖い思いをせずに外を歩けるんです」

子どもたちは学校にも通い始めましたが…

グレイソンさんの母親 ケイトリンさん
「アメリカの家が恋しいのね」

他の兄弟たちに寂しい思いをさせてしまっているのでは。母として複雑な思いも抱えています。

グレイソンさんの母親 ケイトリンさん
「頭では『子どもを守るために正しいことをしている』とわかっているのですが、胸が締め付けられるんです」

一家は亡命申請が認められる日を待っていますが、弁護士からは時間がかかるうえ、ハードルも高いといわれています。

政権発足からまもなく5か月。性的マイノリティーやその家族は翻弄され続けています。