去年1年間のストーカー被害をめぐる警察への相談がおよそ1万9500件にのぼり、このうち「紛失防止タグ」を悪用して被害者の位置情報を特定する行為についての相談が急増していることが警察庁のまとめでわかりました。

ストーカー事案をめぐっては、元交際相手からのストーカー被害を訴えていた川崎市の女性が遺体で見つかった事件をうけ、警察庁は各都道府県警に「被害者らの安全の確保を最優先とした対処を徹底してほしい」と指示しています。

警察庁によりますと、去年1年間に全国の警察に寄せられたストーカーに関する相談件数は1万9567件と、前の年から276件減りましたが、依然として高い水準となっています。

このうち、つきまといを繰り返すなどのストーカー規制法に基づく禁止命令は2415件でした。

警察庁は、去年3月から禁止命令を受けた原則すべての加害者に対し、警察からの連絡やカウンセリングの呼びかけを行う新たな取り組みを全国で開始しました。

去年3月から12月末までにカウンセリングなどを受けるよう働きかけた加害者は3271人。しかし、そのうち9割が受診を拒否し、実際に受診したのは5.6%にあたる184人にとどまっています。

さらに働きかけた加害者のうち、5.1%にあたる168人が再犯していて、その大半がカウンセリングの受診を拒否していました。

この結果を受けて、警察庁は今後、より実効性の高い働きかけを新たに検討するとしています。

また、警察庁は、新たなストーカーの手口として、鍵や財布などに取り付け、スマートフォンと連携して位置情報を把握する「紛失防止タグ」が悪用されるケースが急増していると明らかにしました。

去年1年間でストーカーが「紛失防止タグ」を悪用した位置情報を特定する行為に関する全国の相談件数は、過去最多の370件にのぼっています。

具体的な事例として、去年1月には「車に紛失防止タグを取り付けられた」という30代の女性からの相談を受け、捜査をした結果、女性に好意を抱いていた男性が複数回にわたり女性の行き先で待ち伏せやつきまとうなどしたことが判明し、ストーカー規制法違反の疑いで摘発したケースも報告されているということです。

一方、2021年に施行された改正ストーカー規制法により規制の対象となった「GPS機器による位置情報の無断取得」に関する相談件数は513件で、こちらも過去最多となりました。

GPSが人工衛星からの電波を使って正確な位置情報を特定するのに対し、「紛失防止タグ」の仕組みは異なります。

「紛失防止タグ」は、タグ自体が正確な位置情報を発信しているわけではなく、タグが発信するBluetooth信号を周囲のスマートフォンが検知して、おおよその位置情報を特定しています。

このため、現行法では「紛失防止タグ」は規制の対象となりませんが、警察庁は「このような行為に対しては引き続き各種法令を適用して厳正に対処するとともに、今後、法改正を含む規制強化を慎重に検討していく」としています。