選挙後のコメ価格は不透明でも…備蓄米人気で“コメ解散”?

藤森祥平キャスター:
SNSのトレンドなどを分析するツールによると、「備蓄米」に関する投稿が今週に入って急激に増えています。内容を分析すると、ネガティブな投稿よりもポジティブな投稿が多いと判定されました。具体的には「美味しい」「安い」などの投稿が多いようです。

トラウデン直美さん:
需要が高いからこそポジティブな反応が多いのだろうし、それだけ私たちの生活にとって、コメは欠かせないということが改めてよく分かります。

藤森キャスター:
自民党では2日に森山幹事長など幹部がそろって備蓄米を試食し、「美味しい」と言っていた。みんなで「備蓄米」にあやかろうとしている感じがします。

TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
夏の参議院選挙に向けて有権者の最大の関心事は物価高対策で、その象徴になっているのがコメ。小泉大臣のやり方に自民党議員みんなが賛成ということではないが、小泉大臣の発信力や勢いに乗っかって戦っていこうという状況です。

藤森キャスター:
備蓄米の人気で自民党の空気が変わったのか。石破総理が「内閣不信任案提出なら、採決を待たずに衆院解散を検討している」という話が急に出てきました。解散に前のめりになっていませんか。

岩田 政治部長:
ある政府関係者は「江藤大臣の時はピンチだったが、小泉大臣になってよかったかもしれない。いま解散すれば与党で過半数とれるだろう」と言っています。自民党は衆議院で与党が過半数割れした状況で、今国会で大変さが骨身にしみて意味がわかっているはずです。いわば“コメ解散”に踏み切ってダブル選挙に打って出たいという誘惑は、かなり大きいのではないでしょうか。

野党からも不信任案へのけん制ではなく、むしろ出すように挑発しているとの発言もありました。

小川彩佳キャスター:
忘れてはいけないのはコメ不足は1年近く続いているのに、それまで何もしてこなかったこと。これだけ小泉大臣の動きがスピーディーに見えるのは、それだけこれまでの動きが鈍かったという証拠なのではないでしょうか。

藤森キャスター:
備蓄米を日本酒など加工用に放出検討と次々に手を打ってきている。備蓄米人気にあやかって選挙を戦いたいというのはわかるが、備蓄米は永久にあるわけでない。選挙は7月で、新米が市場に出回るのは9月。選挙までに価格がどうなるのか。小泉大臣は「2000円程度」、石破総理は「3000円台」と言っているが、その通りになるかもわからない。この先、政府はどのように手を打とうとしているのでしょうか。

岩田 政治部長:
参議院選挙まで1か月くらいあるので、備蓄米がこのあと手に入らないという国民の怒りが出てくるかもしれない。もしかしたら今の勢いがピークかもしれないという状況でもあります。

石破総理や小泉大臣は今回、米価がこれだけ問題になったのは農政に構造的な問題があると思っていて、増産など農政改革の意欲を見せている。

一方、自民党で農水族といわれる森山幹事長たちは、農家を守ってちゃんと高い価格で取引されるようにしたいという考えで、両者には考え方の違いがある。

トラウデン直美さん:
農家を守るという考え方もわかるが、それだけでは長い目で見たときの農業が守れない気がします。いまの農家と農業全体を守るという両立はできるのでしょうか。

岩田 政治部長:
小泉大臣の農政改革と、森山幹事長たちの農家を守りたいという両立をどうしたらできるのか考えなければならないのがコメの問題。

衆議院は解散がなければ与党が少数のままなので、仮に石破政権が続いたとして、野党も含めて未来の農政の在り方を考えることが大事だと思う。

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<プロフィール>
岩田夏弥 TBS報道局 政治部部長
元官邸キャップ
小渕総理以来主に政治取材を担当

トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行