「あおむけ寝」推奨で増える変形 脳の重みでゆがむ骨
近年、赤ちゃんの頭の形に悩む親が増加している背景には「うつぶせ寝」による乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防策として「あおむけ寝」が推奨されたことが影響しています。
▼松山美智子 医師(那覇市立病院 脳神経外科)
「うつぶせ寝ではなく、あおむけ寝を指導されて、そのまま寝返りを自分で打てないので、ずっとその状態で寝てしまうと、自分の脳の重みで骨がゆがんでいってしまう。頭の形が変形してしまう子が増えている」
頭のゆがみは、主に3つのタイプに分けられます。左右でずれがみられる「斜頭症」、あおむけ寝に多くみられ、頭の幅に対して前後が短くなる「短頭症」、横向き寝に多く、頭が長く伸びる「長頭症」です。
ほとんどの場合が病気ではありませんが、ごく稀に頭蓋骨の成長が妨げられる病気「頭蓋縫合早期癒合症」が隠れている可能性もあります。診察ではゆがみの原因を詳しく調べ、適切な治療へとつなげていきます。
▼松山美智子 医師(那覇市立病院 脳神経外科)
「縫合すべて見えていて、位置的頭蓋変形症で間違いない。病気は隠れていないですね」
専用ヘルメットでゆがみを矯正 治療費は保険適用外
病気が隠れていない場合でも、頭のゆがみが気になるという場合は、専用のヘルメットを使った矯正治療を行うことができます。1か月に1回、成長に合わせてヘルメットを調整し、少しずつゆがみを治していきます。
▼松山美智子 医師(那覇市立病院 脳神経外科)
「装着から1か月おきにウレタンマットの調整が必要になってくるので、大体装着から6か月後に卒業」
ただ、この治療は保険適用外。約55万円の費用が自己負担となります。診察を終えたこちらの母親も、実際にヘルメット治療をするかどうか悩んでいます。
▼生後5か月になる女の子の母親
「金額がやっぱり気になるのと、23時間ヘルメットを付けるということだったので、できるのかなという不安もある」
▼松山美智子 医師(那覇市立病院 脳神経外科)
「同じ姿勢で寝かせるのではなくて、少しずつ工夫していただいて。そうすることでヘルメット治療がいらないこともある。ただ、努力してもゆがみが進んでしまうというものに関しては、こういう治療があるという選択肢の一つとして考えていただければ」
病気の早期発見にもつながる「頭の形外来」。松山医師は、少しでも気になることがあれば、まずは専門医に相談してほしいと呼びかけています。
【那覇市立病院の「頭のかたち外来」】
診察日:毎月第2・第4木曜日
予約:受診にはかかりつけ医の紹介状が必要
担当医:松山美智子(日本脳神経外科専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医)
豊見山直樹(日本脳神経外科専門医)