世界記録を7つ持つ94歳のスプリンター田中博男さん(青森市)が31日、今季初戦となる青森マスターズ陸上選手権(カクヒログループアスレチックスタジアム・青森市)に出場し、100メートルは22秒21(追い風3・7メートル)、200メートルは51秒59(追い風2・7メートル)だった。

田中さんはレースについて「寒くてコンディションはよくなかったが、走り切りました」と振り返った。一方でタイムについては、マスターズ陸上のM90のクラスで100メートル16秒69、200メートル36秒02の自己ベスト(世界記録)を持つだけに「記録はとてもじゃないが…」と納得はいかず。続けて「夏の弘前の大会では100メートルで18秒台、200メートルで42・3秒台を出したい」と先を見据えた。

マスターズ陸上は5歳刻みでカテゴリーが変わるため、90歳~94歳が対象のM90のクラスでは、90歳のときに世界記録や日本記録が出やすい傾向にある。田中さんも23年11月のアジア選手権で3冠に輝いた後はモチベーションの維持に悩まされ、去年・今年は青森県内の大会に専念。市内の運動施設で週5日1時間半程度のトレーニングを重ねながら来季に向けた調整を続けている。

田中さんは来年のM95カテゴリーでの日本記録・世界記録更新に照準を合わせていて「いかに体調を崩さないかが大事。体調を維持できれば記録もそこそこチャレンジできそう。難しい環境だけども頑張ってみたい」と意気込む。

94歳のスプリンターは長期的な計画で来季の世界記録樹立を見据えている。

田中さんの世界記録

M85 100m 15秒08(追い風1・9m)
M90 100m 16秒69(向かい風0・6m)
M90 200m 36秒02(追い風1・1m)
M85 400mリレー 1分7秒03
M90 400mリレー 1分33秒52
M90 1600mリレー 9分23秒29
室内
M85 200m 33秒76