60年前、福岡県稲築町の山野炭鉱でガス爆発事故が起き237人が犠牲となりました。
5月30日、地元の学校で当時を知る語り部が講演を行い、「自分を大事にして生きて欲しい」と語りかけました。

「今から山野炭鉱ガス爆発事故で亡くなられた方が安らかに眠っていただけるように黙祷をします。黙祷」
福岡県嘉麻市の稲築東義務教育学校です。
60年前に起きた山野炭鉱ガス爆発事故の犠牲者を悼むため5月30日朝、黙とうが捧げられました。

事故が起きたのは1965年6月1日午後0時36分。
かつて、三井鉱山の主力炭鉱の一つだった稲築町の山野炭鉱坑内で大規模なガス爆発が起きました。


石炭の採掘作業中だった552人のうち237人が一酸化炭素中毒などで亡くなり、坑内から次々と遺体が運び出されました。

夫が山野炭鉱に勤務していた 山下三千子さん(86)
「幼稚園とか、保育園があったんですよ。そこに全部死体をね、237名から全部寝せるんですよ。涙しか出ないその当時はね」
夫が山野炭鉱で働いていた山下三千子さんです。
夫の一二三さんは事故当日、午後からの出勤だったため無事でしたが、地元で起きた大惨事の記憶を風化させたくないという思いから子供たちに当時の体験を語り伝えています。

夫が山野炭鉱に勤務していた 山下三千子さん(86)
「おじさんたちも、元気で行って帰ってくると思って、そういうガス爆発事故があったからね、切ないよね、思い出しただけでね。だから今日一日を大事に、元気にしとって皆さんね。明日は分からんね。」
山下さんは子供たちに、「自分を大事にして今を生きて欲しい」と訴えました。

講演を聞いた畠山凛音さん(小6)
「辛かったこともあったかと思うけど、国や家族のためにしてきたところがすごいと思いました」

講演を聞いた小嶋奏翔さん(小6)
「爆発事故で残された方たちの気持ちも考えて、本当に幸せを祈って行きたいです」