去年、広島市のループ橋で、ダンプカーが乗用車に衝突し、3人が死傷した事故で、広島地裁は、トラック運転手の男(59)に対し、禁錮3年の実刑判決を言い渡しました。(求刑:禁固5年)
運転手の男は、去年11月、広島市安佐南区でブレーキなどを的確に操作せず、制限速度を超える速度でループ橋に進入し、ダンプカーを横滑りさせながら対向車線の乗用車に衝突。ループ橋から転落させ、乗用車に乗っていた夫婦を死亡させたほか、同乗していた娘に大けがをさせたとして、過失運転致死傷の罪で去年12月に起訴されていました。
これまでの裁判で、検察側は当時の状況について「男に体調不良はなかった」「フットブレーキも踏まず、ギアもニュートラルであった」「ダンプカーが減速せずに、パニック状態に陥った」などと指摘。「無線に気を取られて注意義務を怠っていて、過失の程度は悪質かつ重大」として禁錮5年を求刑。
一方、弁護側は「職業運転手の男が、速度が落ちていないのに減速しようとしていないのは不自然。事故直前に陥った一時的な体調不良による事故の可能性が否定できず、単純な過失とはいえない」として無罪を主張していました。
29日の判決で広島地裁の櫻井真理子裁判官は起訴事実を認定した上で、「速度超過などの原因が被告の体調不良にあるとはいえない」と指摘。「速度超過の危険性を軽視したことが事故の一因。過失の悪質性は高いと言わざるを得ない」と述べました。
一方で、男が反省の弁を述べていることなどから、禁錮5年の求刑に対し、禁錮3年の実刑判決を言い渡しました。