「農家を魅力ある産業に」農家の願い コメの適正価格は?

「適正な価格」とはいくらなのか。

田植えが始まった青森県北部の平内町で、「まっしぐら」などのブランド米を生産している田邊さんはこう話します。

マルサンファーム 田邊真太郎さん(35)
「(コメ販売価格)2500円から3000円くらいが生産者にも消費者にも一番良い価格帯だと思う。消費者の立場からすると安いに越したことはないが、そのくらいの価格帯(2500円~3000円)で流通していくというのが、今後の持続可能な農業経営につながると思う」

農協を介さず、自社の直売所やネットでコメを販売している田邊さん。

4月から店頭価格を500円値上げし、5キロ3000円としましたが「完売」に。ネット販売もすでに売り切れの状態です。

マルサンファーム 田邊さん
「例年に比べると早い段階での完売という状況が続いている。去年、今年とより引き合いが強くなっている」

新米が出回る今年の秋以降は、5キロ3000円台後半に値上げをすることを考えているといいます。

マルサンファーム 田邊さん
「当初の政府の見立てよりか、大幅に備蓄米を放出しているが、それでも価格が上昇傾向にある」

コメの価格を落ち着かせるためには、国全体の“増産”が欠かせないと感じています。

しかし、農家の担い手不足が進み、耕作放棄地は年々増加。統計が残る2015年の時点で42.3万ヘクタール。現在はさらに増えているとみられます。

マルサンファーム 田邊さん
「黙っていても農地は集まってこない。大規模化という展望があって戦略を立て、その戦略の中で新たに開拓しにいった」

いま、耕作放棄地の再生に奔走する田邊さん。

6年前、自衛隊を辞めて叔父から譲り受けた田んぼは4ヘクタールでしたが、その後、引退した農家の土地などを引き取り、30ヘクタールに広がりました。

マルサンファーム 田邊さん
「機械の故障が引退のきっかけになるっていうケースがほとんど。離農される方から農地を引き継いで大規模化、省力化っていう部分は今後のトレンドになってくるのかな」

2024年は、作業の手間を省くため、水のない畑での作付けにも挑戦しました。

マルサンファーム 田邊さん
「(田んぼ拡大で)生産性が高い農業が実現できる。休みの確保など課題のあった業界なので、そういった部分も含めて魅力ある産業にしていきたい」

そんな中、“障壁”となりそうなのが国の政策。

事実上続いていると指摘される「減反政策」で、作りすぎた際は生産の“抑制”、足りない今は“増産”へと方針が変わっています。

マルサンファーム 田邊さん
「国としても一定数余裕を持った生産体制を作ってほしいなと。余れば米価が下がる、そういう仕組みではなくて、余ったら輸出に回すとか、そういう仕組み作りが求められているんじゃないかなと。農業界の転換期を迎えているんじゃないかと思います」