全国的に気温が上がり始め、熱中症による被害が懸念されています。厚生労働省の速報値(令和7年1月7日時点)によると、2024年に全国の職場で熱中症により死亡・重傷(休業4日以上)となった人は1195人で、このうち死亡者は30人にのぼりました。長崎市の消防署では「暑熱順化」(しょねつじゅんか)と呼ばれるトレーニングを実施し、体を暑さに慣らす取り組みが行われています。
【現場レポート】長崎市の消防署で「暑熱順化」トレーニング
長崎市の中央消防署では、5月から熱中症対策として「暑熱順化(しょねつじゅんか)」のトレーニングを実施。
重さ10キロの防火服を着て階段を上り下りするなど、実際の現場に近い負荷をかけて汗をかく訓練が行われています。

「訓練用人形」や「消防ホース」を抱えるなど、段々と負荷をかけていくトレーニング。20分たつと大量の汗がー。
消防隊員の声:
「いつもこのくらい汗をかいています」
「現場と全く一緒の同じ格好で暑熱順化トレーニングをすることで、現場でも同じような環境になるかと思います」
「火災現場なので隊員が熱中症に陥れば、現場活動に支障が出ます。本格的な夏を迎える前に熱中症にならないような体づくりを目指すように取り組んでいます」
【医師が解説】熱中症を防ぐ「汗をかく練習」の大切さ
長崎市の井上病院・井上聡医師は「熱中症は、体に熱がこもって発症する病気。暑さに体を慣らす『暑熱順化』が重要です」と語ります。

井上医師のアドバイス:
ウォーキング(1日30分を週5回)
2日に1回の湯船入浴で汗をかく
汗をかいたら水分・塩分をしっかり補給する
井上医師は「汗をかくと脱水のリスクもあるので、必ず水分補給・塩分補給をセットで行いましょう」と呼びかけています。
熱中症は誰にでも起こる 「汗をかく習慣」で体を守る

熱中症を防ぐポイントは、体が適切に汗をかける状態をつくること。
「暑熱順化」ができていれば、体は適度に汗をかいて熱を放出できますが、できていないと汗をかきにくく、体に熱がこもってしまいます。
暑さが本格化する前から、ウォーキングや入浴などで汗をかく習慣を作り、熱中症対策を日々の生活に取り入れることが大切です。

全国で1195人が職場で熱中症により死傷し、30人が命を落とした2024年の現実。これは工場、建設現場、配送業務、農作業など幅広い業種で発生しており、暑さの厳しさとともに職場の安全管理の重要性が改めて問われています。本格的な夏の前に、誰もが熱中症のリスクを抱えることを意識し、対策を始めましょう。