子どもの視界は“大人の6割”「視界の狭さ」対策とは

高柳キャスター:
ベランダでは「足場になるようなものがなければ安全」というわけでもなさそうです。建築基準法では2階以上の場合、ベランダの柵の高さは110cm以上と決まっています。

しかし検証実験では、6歳児の子どものほぼ全てが110cmを登ることができ、4歳児も7割近くが登ることができました。そして、2歳児も足がかりを利用すれば登ることができる子どももいて、かかった時間は15秒ほどでした。

4歳児の平均身長は102cm、6歳児だと115cmなので、自分の目線や頭より上でも乗り越えられてしまいます。

住環境や子どもの健康に詳しい帝京大学の三木祐子教授によると、子どもの落下理由についてとして、▼好奇心が旺盛であること、▼高層階に住む子どもが増えていること、▼視界が大人の6割しかないことを挙げています。

具体的には、水平方向は大人は150度見えていますが、子どもは90度しか見えません。垂直方向は大人は120度見えていますが、子どもは70度しか見えないそうです。

東京都福祉局は、「チャイルドビジョン」という、装着すると子どもの視界を体験できるものを作成しています。これはホームページからダウンロードをして自分で作ることができます。秋山さんも実際につけてみたそうですが、どのような感覚でしたか?

TBS報道局社会部 秋山記者:
実際につけてみると、思ったより視界がかなり狭くて驚きました。着けてベランダにも出てみましたが、下を覗き込まないと高さがなかなかわかりづらかったです。子どもは、怖さを感じる前に事故に遭うこともあるのではないかと思いました。

高柳キャスター:
高さが見えない中で、子どもは「その先には何があるんだろう」という好奇心をきっともつと思います。そこから覗き込んだときには、もう落ちてしまっているということも考えられます。

なので、子どもがいる人は「危ない」ということを注意するのではなく、「そもそも見えない」ということを認識しておくことも必要になると思います。

日比キャスター:
育児の中で一瞬たりとも目を離さないということは、そもそも現実的ではないので、そういう“まさか”ということが起きうる。これが日常なわけですよね。

蓮見キャスター:
しかも一瞬ですよね。今回のニュースで「5月で急増」と言うと、「この月は気をつけなければ」というマインドになってしまいますが、子どもの転落問題は年中です。

日比キャスター:
できるだけの環境を作っていく。これは今すぐできることかもしれませんね。

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〈プロフィール〉
秋山瑞貴
TBS報道局社会部 東京消防庁・警視庁担当
殺人事件などの強行事件を取材