広島市の平和公園では22日、原爆慰霊碑に納められている死没者名簿の「風通し」が行われました。作業に合わせて、慰霊碑地下にある石室内部が初めて報道向けに公開されました。
広島への原爆投下時刻の午前8時15分、平和公園では市の職員が黙とうをして、「風通し」の作業が始まりました。原爆死没者名簿の「風通し」は湿気を取り除くため、毎年、梅雨入り前に行われています。
職員は地下の石室から名簿を取り出すと1頁ずつ丁寧にめくり、風を当てました。1冊あたりに記された被爆者の名前は2500人。127冊の名簿には去年8月5日までに亡くなった広島の被爆者、あわせて34万4306人の名前が記されています。
「風通し」のあと、原爆慰霊碑の地下石室が初めて報道陣に公開されました。
建築家・丹下健三によって設計された原爆慰霊碑(正式名称・「広島平和都市記念碑」)は1952年8月に建立。
高さ約3m60cm、奥行き約8m30cmの石碑に覆われた石室は、外部から見える上部と普段見ることができない地下の2層構造となっています。

地下の石室は死没者名簿の増加に対応するため、1985年に作られました。すでにあった上部石室の底部分が地下石室の入り口となっていて、内部に入るには梯子などを使って約2m降りる必要があります。

地下石室内部は2.3m×3mのスペースに死没者名簿を入れた奉安箱28箱が納められてます。
広島で被爆し、この1年間に亡くなった被爆者の名前は、来月上旬から新たに名簿に記され、8月6日に地下石室に納められる予定です。
広島市は、「地下石室は被爆者が眠る神聖な場所。公開を通じて慰霊の気持ちを新たにしてもらいたい」としています。