5月15日の巨人戦で逆転満塁ホームランを放った小園海斗。そのウラには2年ぶりに味わったスタメン落ちの悔しさがありました。

去年はチームで唯一、全試合スタメンを果たした24歳。プロ7年目は背番号が51番から5番に変わり、より一層主軸としての活躍が期待されています。しかし、開幕から1ヶ月半。全てが思い描いていた日々ではありませんでした。
小園海斗
「僕もわからないうちに打てなくなりました。1割以上は打率も落としましたし…苦しいですね」

一時は3番として4割を超える打率を残しましたが、4月下旬から急降下。守りでも4月29日の東京ドームで勝利まであとアウト1つの場面でタイムリーエラーをおかしてしまいます。その後、チームはサヨナラ負け。
そんな浮き沈みの激しかった4分の1のシーズンを振り返って印象に残っている試合は?
小園海斗
「出れなかった試合ですかね…」

5月4日の中日戦。2年ぶりに小園の名前がスタメンから消えました。そのときの心境は。
小園海斗
「実力なんで、仕方ないかな。またチャンスもらえるようにっていう思いでやり返してやろうっていう感じでやっていました。なかなかいろんなことをベンチから見ることはなかったので、いいきっかけというか、頑張らないといけないなっていう思いにもなった試合だったかな」

新井監督がスタメンから外した理由は「弱い姿が見られたから」。技術以前に、気持ちの問題だとして、監督は小園とあえて直接の会話をしなかったと言います。そんな中、声をかけたのが先輩たちでした。
小園海斗
「野間さんにはすぐに声かけていただきましたし、(大瀬良)大地さんもそうですし、會澤さんも自分から聞いたり、連絡をもらったりっていうのもあった。まずはちゃんと野球だったりとか、ガッツだったりとか。練習からしっかりとやっていった方がいいんじゃないのと。いろんなベンチだったり行動もそうですし、『いろいろ考えることがあるんじゃないの』と言ってもらえたんで本当に大きかったかなと思います」

翌日の5月5日。新井監督は再び小園をスタメンに戻しました。
小園海斗
「バッティングはなかなか調子も良くなくて、本当にスタメンでいいのかなっていう感じはあったんですけどまずやれることをやろうかなと。すごく難しい試合でしたけど何とかチャンスとかでも繋げたりとかもできたんでよかったですね」<3打数1安打2四球1盗塁>
また打席だけでなくランナーを出した先輩ピッチャーにかけより積極的に声をかければ・・・菊池涼介に変わって守ったセカンドで好プレーを見せるなど走攻守でチームのために戦う「強い小園海斗の姿」がありました。そして、復調気配が出てきた母の日の5月11日。DeNAの東から今シーズン初めてのホームランを含む3安打を放ちました。
振り返れば1年前の5月。小園海斗は4番にも座り8度の勝利打点を挙げ月間MVPを受賞しました。ことしは極度の打撃不振に陥りスタメン落ちを経験しましたが、それでも試行錯誤の末に得たものもありました。

小園海斗
「いろんなことを試しながらやってましたし、それでも合わないときってあるんだなと思いました。でも、いい勉強になった。これからまたこういうことも絶対あるのでこういう時期も大事だな。しっかりと覚えておこうと。ここから巻き返していけるように気合で頑張りたいなと思います」
迎えた5月15日の巨人戦。1点ビハインドの6回。
防御率リーグトップだった山崎伊織から満塁の場面で6番小園に打席が巡ります。追い込まれながらも強いスイングで捉えた打球はライトスタンドへ飛び込む自身初の満塁ホームランに!スタメン落ちから11日。やはり背番号5はグラウンドに欠かせない!そう言わしめる逆転弾でした。
小園海斗
「本当にミスも多い選手ですし、なかなか打てない選手ですけど使ってもらっていますし…。チームが勝てるように、残りの試合は全部スタメンで出て、『ここぞ』っていうときに打てるように頑張りたい」

<RCCテレビ・イマナマ「カーチカチTV」2025年5月19日放送>
【取材後記】
調子が上がらない中で、何でも自分の引き出しになればと、メジャーリーガーから名の知れない選手まで、様々な野球関連の動画を見たという小園選手。もがきながらもチームのために打席でも守備でも貢献したいと誓います。20日にはドラフト1位ルーキーの佐々木泰選手が1軍昇格。サードのポジションのライバルともなりますが、小園選手は『彼もすごくいいバッターだなと思いますし、絶対チームには必要になってくる存在じゃないかなと自分でも思っています。(佐々木の)高校の監督も僕が中学時代に教えてもらった監督という繋がりもあるので一緒に出れたらいい』と話していました。2人の恩師は鍛治舍巧(かじしゃ・たくみ)さん。言わずと知れたアマチュア野球界の名将です。2025年5月20日はカープの未来を背負う背番号5番と10番が同時出場のメモリアルゲーム。将来的に「この日がカープにとって大きな1日だった…」と言われる日が来るかもしれませんね。
<担当:RCCアナウンサー 石田充>