2021年、66歳で血液がんの一種である「多発性骨髄腫」を発症し、2度の入院を経て復帰した俳優の佐野史郎さん。
闘病中、「落ち込みや不安は一切なかった」と言います。
"ライフワーク"と話す公演「小泉八雲朗読のしらべ(10月28日開催)」のため、地元・島根県松江市に帰郷した佐野さんに、闘病生活と今後の活動について聞きました。

Q)久しぶりの松江ですね
佐野史郎さん
「松江に帰ってくるっていう感覚があまりなくて。東京に行くっていう感覚もない。どちらも大好きな街です」


佐野さんは2021年、66歳の時に血液がんの一種である「多発性骨髄腫」を発症し、公表しました。

Q)去年、多発性骨髄腫と告げられたときの心境は
佐野史郎さん
「全然平常心で。さてこれどうしようかなって感じで。
『どうしたら良いですかね?』って先生に聞いて、ひとつひとつの行程を踏んでいっただけですね。
皆さんが想像するような落ち込むとか、不安になるとかは一切なかったですね」

落ち込みや不安などは一切なかったという佐野さんですが、治療はかなりつらかったと話します。


佐野史郎さん
「もちろんしんどいですよ。抗がん剤治療なんか特に。血液の抗がん剤なんて一番強いやつですから。そりゃもう強烈ですよ」

過酷な治療だったと話す佐野さんですが、それでも耐えられた背景には、与えられた役を全うするという俳優業の経験があったからだと考えています。

佐野史郎さん
「この身体で病に侵されたことは事実だと。この与えられた役柄をどう生きようかと自動的になりました。
脚本家と話すように病院の先生に『これだけ治らないのおかしくないですかね?』『帰れないですかね?』みたいな。抗ってもしょうがないので」


壮絶な治療すら与えられた"役柄"だと思い、"役"を演じるように治療に専念したと言います。

そして現在は回復。
体力の衰えは感じるものの、今まで通り仕事ができているのだと言います。

佐野史郎さん
「退院したとき、『佐野、大変だったな』って先輩の俳優さんに言われて、『いや、楽しかったですよ』って言ったんですよね、つい。だから多分それが本音じゃないですかね」