宮城県の日本三景・松島で、30日までの3日間、大がかりな交通社会実験が行われました。松島海岸地区の国道45号線を通行止めにして、歩行者天国としにぎわいをつくり出そうという初めての試みで、効果とともに課題も見えてきました。

松島町の交通社会実験で全面通行止めとなったのは、松島海岸レストハウス前から松島第一駐車場までの250メートルの区間です。

この区間は30日までの3日間、歩行者天国となったため、観光客が自由に行き来できるようになり、テーブルやいすも並べられました。

訪れた人:
「観光地らしさが、トラックが通ることでせっかくきれいな景色が現実味を帯びてしまうところがあったが、きょうは静か。とても気持ちがいい」


2日目の29日は、かつてこの地を訪れた俳人、松尾芭蕉の衣装に身を包んだ村井知事も現地を視察。就任当初から温めてきた「肝入り」の交通社会実験の効果を強調しました。

村井知事:
「大勢の人が楽しそうな顔でくつろいでいる姿を拝見して、やってよかったという気がした。昔、松尾芭蕉がこの地を歩いた時にはこういう静けさ、景色だったんだろうなという思いを持ちながら、私自身が楽しんだ」


期間中の松島海岸地区は、普段は往来する車の音でかき消されている波の音まで聞こえるほどの静けさに包まれました。
一方で、訪れた人からはこんな指摘も…。

仙台から訪れた人:
「私たちにしてみれば、焼きガキを食べに来たが焼きガキ売ってないし、キッチンカーも少ないしお店は全然もう…」


Q.もう少し賑わいがあれば?
「そうそう、声を出している人もいないし」


沿道の店舗の多くは通常営業。海に面した松島海岸中央広場にはキッチンカーが並んだものの、せっかくの歩行者天国の空間には出店はありませんでした。

「特別感」の演出は十分ではなく「にぎわいの創出」に課題を残しました。

往来する車もう一つの課題は迂回路です。通行止め区間の北側にあたる愛宕交差点。

仙台方面に向かう大型車両が利府街道に入るため次々に右折していきます。案内表示などもあり混乱はなかったものの車の列ができました。また、高城交差点でも、交差点近くにJR東北本線の踏切がある影響も相まって渋滞が発生していました。


一方、松島海岸地区を通行する大型車両の9割、普通車でも6割が松島を通り抜ける車両とされています。国道45号線は交通量が多く、円滑な交通の確保も課題です。


村井知事:
「今回詰まった(渋滞した)部分がどこなのか、県道であれば道路改修をどうすればいいのかということをよく考えていきたい。毎週ではなくても少なくとも月に何回かはああいったことをして盛り上がって行ければいいかなと」


県は今後、交通社会実験の効果や課題を詳しく検証するとともに、来年度以降も継続して実施していくことにしています。

全面通行止めの区間やその周辺の店舗では、いつもより売り上げが減少したところもあったということです。県はアンケートを実施して、課題を探っていくことにしています。