中東を歴訪中のアメリカのトランプ大統領。去年、アサド政権が崩壊したシリアに対する政策を大きく方針転換し、制裁を近く解除する方針を示しました。このアメリカの制裁解除の方針は、シリアにとってどのような意味をもつのでしょうか?

対シリアへの制裁解除というアメリカの大幅な政策転換は、シリアにとって願ってもみなかったチャンスとなります。

シリアでは、去年12月にアサド政権が崩壊するまで、実に10年以上続いていた内戦で30万人もの人が犠牲になったうえに国土が大きく荒廃。私たちが去年12月の政権崩壊直後に現地を取材した際も、至る所で破壊しつくされた町の様子がみられ、国の再建には途方もない時間がかかるだろうということを物語っていました。

こうした状況のなか、暫定政府はアメリカやヨーロッパの国々に対して制裁解除を求め続けてきましたが、今回、アメリカが大きく舵を切ったことで、シリアとしては外国からの企業投資や支援拡大を促し、国の復興に弾みをつける一歩につなげたい考えです。

さらに、国際社会との関係改善に向けた重要な転換点とも言え、今後、日本を含め、いまだ制裁を維持する国々がアメリカに続くかどうかも、今後の焦点となります。

アメリカのトランプ大統領はきょうこのあと、シリアのシャラア暫定大統領と面会する予定ですが、実に25年ぶりとなる両国首脳の面会で、どのような言葉が交わされるか、注目が集まっています。