愛媛県松山市に本店を置く大手農機具メーカー、井関農機が金型などの部品およそ2万個を、100社以上の事業者に無償で保管させていたとして、公正取引委員会から下請法違反で改善の措置を取るよう勧告を受けました。

公正取引委員会によりますと、下請法違反で勧告を受けたのは、松山市内に本店を置く国内3位の大手農機具メーカー、井関農機です。

勧告によりますと、井関農機は、おととし5月から今年1月までの間、農業機械の製造に必要となる金型や溶接装置など1万9000個あまりを、下請け事業者102社に無償で保管させていたということです。

下請法では、当面使用する予定のない部品などの保管を依頼する場合にはその対価を支払う必要があると規定しています。
井関農機は、公正取引委員会からの調査を受け、下請け事業者102社に対して、本来支払う必要のあった保管料、総額およそ1億6200万円を今年1月までに支払ったということです。
公正取引委員会によりますと、無償保管させていた部品の数や、その後に精算した金額は、下請法違反事案としては過去最大だということです。

井関農機をめぐっては、2008年に、グループ会社3社が、下請け事業者への代金およそ11億円を不当に減額して支払っていたとして公正取引委員会から勧告を受けています。

井関農機は「勧告を厳粛に受け止め、グループ全体で社内体制を再整備し、法令遵守の徹底および取り引きの適正化を図る」とコメントしています。