「ペーパーマージンで価格高騰」稼ぐ農家が見たコメ不足

黒澤信彦 代表取締役
「もう商品がなくなったので、sold outでございます」

2025年秋の収穫分は既に売り切れ。1キロ800円〜1000円程度と高めですが、17週連続で値上がりしているスーパーの平均販売価格と大きな差はなくなってきています。

なぜこうした事態が起きているのか。黒沢さんは、生産者と消費者の間に複数の業者が絡む流通を要因の一つに挙げます。

黒澤信彦 代表取締役
「一つのお米に3枚か4枚ぐらい伝票がつく。お米を流通している人たちはちゃんと利益を出して儲かっている。でも末端の農家は、本当に大変な思いをしてきた。ペーパーマージンがなくなれば、もっと消費者は美味しいお米を安く、買えるようになってくるんじゃないか」

“稼げる農業”へ政策転換を

さらに問題視するのは、国の政策です。国は地域ごとに生産量を割り振る「減反政策」を廃止しましたが、今も毎年、生産する量の目安を示すなど、減反は事実上続いていると指摘されています。

黒沢さんは、目安として示された量を国内に回し、目安を超えた分の一部はシンガポールや香港、アメリカに輸出しています。

黒澤信彦 代表取締役
「おにぎり屋さんの隣にスターバックスがあるんですけど、スタバよりもおにぎりの方が人が並んでいる。アメリカ行くと、おにぎり1個800円ぐらいする。1個800円のおにぎりだったら、純国産のお米を持っていっても(採算が)合う。もう減反とか生産調整してる場合じゃない」

米農家の後継者不足は進んでいますが、長男・拓真さんは家業を継ぐ決断をしました。

長男 黒澤拓真さん
「私の父は稼げる農業というのを実践してくれていたので、それをかっこいいと思いながら、自分もそんな仕事をしてみたいなと」

黒澤信彦 代表取締役
「農業者がなぜこんなに減ったのか、儲からないから後継者が育たなかった。国は政策を転換してもらうきっかけに、今回のコメがなれば、これから稲作農業を目指す若い後継者にも、今までより夢の持てる、希望の持てる農業になるんじゃないか」

備蓄米の放出に限らず、将来を見据えた改革が必要だと感じています。