就職氷河期世代への影響は深刻に
井上キャスター:
「基礎年金底上げ」の議論が先延ばしされることで、「就職氷河期世代」が重要になってくるということなんですか?

TBS報道局 政治部 長田ゆり:
今回の改革で一番の目的というのは、就職氷河期世代の人たちへの支援というところで「年金制度改革をやろう」という話になったんです。
この「就職氷河期世代」というのは、バブル崩壊後の就職なので正規雇用に就けなかった人が多く、それに伴って厚生年金の未加入期間が長い、もしくは入ったことがない人が多いということで、基礎年金への依存度が高い世代だと言えると思います。
ただ試算でもあった通り、基礎年金がこれから目減りしていくので、就職氷河期世代の人たちが老後を迎えるときに基礎年金だけで老後の生活を維持していくというのはなかなか難しいと思います。なので、その救済策として、今回の改革が本当はあるはずだったんです。
ある厚労省幹部はそれに対して、「“誰かが痛みを伴う”というのが年金制度だ」と話していました。世代間のせめぎ合いというのがある中で、そこをしっかりと説明できなかったということがあると思います。
政府には、▼改革に向き合う姿勢と▼国民への真摯な説明というのが、今、求められているというふうに思います。
井上キャスター:
全員が幸せになる案というのは存在しなくて、やはり誰かにツケが回ってしまう。その部分をしっかりと説明していただきたいですね。
星浩さん:
明らかに国民年金のモデルがもう古くなっているんです。農家で、近くに田んぼも畑もあるという設計だったのが、今や、国民年金だけというのは、就職氷河期の人を含めて、非正規で働いた人たちになっていますので、そこら辺の設計をもう少しきちんとやっていかないと、後々になってしわ寄せが生じるという現象が、もう起きてますね。
井上キャスター:
完全に時代に合ってないわけですよね。
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〈プロフィール〉
長田ゆり
TBS報道局政治部 自民党の政策を取材
柔道は黒帯 趣味は永田町のランチ開拓
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年