今の国会では年金制度の一部を改革する法案が審査される予定になっていますが、ある部分が“骨抜き”にされる可能性が出ています。

5年に一度の年金制度改革が“骨抜き”に? 

井上貴博キャスター:
年金制度改革において重要な部分である基礎年金の底上げについて、当初盛り込まれていましたが、削除されそうなんです。

TBS報道局 政治部 長田ゆり:
年金制度は5年に一度しか見直されないのですが、国民の生活に直結する大きな問題です。しかし今回の法案は、大幅な骨抜きの改革案で終わってしまいそうです。

そもそも、今回の年金制度改革での最大の目玉は「基礎年金の底上げ」でした。

厚生労働省が2024年、年金制度の“健康診断”とも言われる財政検証を発表した際に、現在、現役の平均収入が37万円に対し、年金の給付水準が6割に保たれていますが、30年後の2057年度には、約5割の水準に落ちるという試算を出しました。

井上キャスター:
インフレ等で30年後には手取りが増えるだろうと予想されている一方で、年金額は減っていくということですね。

TBS報道局 政治部 長田ゆり:
年金の給付水準が下がる中で、さらに問題なのが内訳です。年金の“1階部分”と言われる、全ての人が受け取れる基礎年金の割合が、30年間で約3割目減りするという試算が出されました。

これは経済成長が過去30年と同じ程度だった場合の収入ですが、基礎年金の手取りが約3割減少するのは、デフレが想定よりも長く続いたこと、そして、その中で年金額を下げられなかったツケが将来世代に回ってきているということになります。