中国外務省は、何立峰副首相とアメリカのベッセント財務長官が会談すると発表しました。貿易摩擦をめぐり、米中の直接協議が行われるのは初めてです。

中国外務省によりますと、経済分野を担当する何立峰副首相は9日から12日までスイスを訪問し、アメリカのベッセント財務長官と会談するということです。

これについて、中国商務省の報道官は「アメリカ側が中国と協議したい意向を示してきた」ことから、中国の利益を考え、応じることを決めたとする談話を発表しました。

そのうえで、「アメリカは誤った措置をただし、平等な協議を通じて懸念を解決すべきだ」として、交渉にあたってはまず、アメリカ側が関税を撤廃すべきだという考えを改めて強調しました。

激しい米中対立が続くなか、直接協議で打開策が見いだせるのかが焦点となります。

中国外務省 林剣 報道官
「中国は自国の正当な利益を断固として守り、国際的な公平性や正義を維持します」

中国外務省の林剣報道官は7日の記者会見で、「中国側がアメリカ側の関税の乱用に断固反対する立場に変化はない」と強調。

「いかなる圧力や脅迫も中国には通用しない」として、アメリカとの直接協議を前に対等な立場での対話を改めて求めました。

一方、アメリカのベッセント財務長官は「FOXニュース」の番組に出演し、10日と11日の2日間、スイスで中国側と会談することを明らかにしました。

ベッセント長官は中国と高い関税をかけあう現状について、「持続可能ではない」と改めて指摘し、10日からの会談は「大きな貿易協定を話し合う場ではなく、緊張緩和が目的になる」との見通しを示しました。

中国側は「先にアメリカ側が関税を撤廃すべきだ」としていますが、ベッセント長官は「テレビ番組で戦略を明かすつもりはない」と述べるにとどめています。

また、ベッセント長官は「繊維産業などについては中国とのデカップリング=切り離しは望んでいない。一方で、戦略的な産業についてはデカップリングしていきたい」と話しました。「戦略的な産業」の具体例としては、鉄鋼と半導体、医薬品を挙げていて、アメリカ国内に製造拠点を回帰させていく考えを示しています。

FOXニュースによりますと、中国側との会談にはグリア通商代表も参加するということです。